篠山紀信氏が明かす 自決1週間前の三島由紀夫氏撮影秘話

2019年09月04日 20時00分

篠山紀信氏

 写真家の篠山紀信氏(78)が4日、東京・文京区の東京ドームシティ「Gallery AaMo」で行われた「篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN THE Last Show」のプレス内覧会に出席した。

 2012年から全国32会場を巡回し、99万人を動員してきた本展は、これが最後。新たな内容を加えた凱旋展となる。巨匠が切り取った故ジョン・レノンさん&オノ・ヨーコ、寅さんこと故渥美清さん、故樹木希林さん、文豪・三島由紀夫氏をはじめ、山口百恵(60)、宮沢りえ(46)ら時代を彩ったスターたちの姿を、大迫力で拝むことができる。

 衝撃的なのは、1970年に自衛隊市ケ谷駐屯地で自決した三島氏の緊縛はりつけ写真だ。篠山氏は「三島さんが『男の死にざまはいろいろあり、死に方にも美学がある。いろんな死に方の写真を撮ってくれ』と言うので、男の死というテーマで撮ることになった。15種類くらいの撮影をしたが、三島さんが『ここで使う血のりは、浅草のどこの店の何番の赤』などと細かく指定して、ちっとも面白くなかった」と振り返る。

「変わったことをするなあと思って、年が明けたらまた撮りましょうと言った1週間後に三島さんが亡くなった。まさか死ぬとは思わなかった。この写真は、三島さんが有名な『聖セバスチャンの殉教』を演じたもの。三島さんだけが知っていた、死に向かうドキュメンタリーなのに、僕は写真家としてバカみたいだった。後になって三島さんの友人などが『そういう兆候があった』とかうそばかりつくけど、分からないって。ジョンとヨーコの写真(アルバム『ダブル・ファンタジー』のジャケット)だってね、撮影の3か月後にジョンが撃たれて亡くなったんだから」

 常に時代の最先端に立ち続けた篠山氏は「もう50~60年もやっている。よくそんなにやっていられるねと言われるが、写真は時代の写し鏡。そういうものにふっと寄っていき、常に何かに興味を持ち、時代と並走していなきゃいけない」と“時代の目撃者”としての覚悟を語った。

 同展は同所で5日から10月27日まで開催。9月中には写真展として初めて累計動員数100万人を突破する見込みだ。