元AKB・岩田華怜 主演ミュージカルで平和アピール「微力だけど無力じゃないと信じて進む」

2019年08月08日 16時51分

ポーズを決める岩田華怜

 元AKB48の岩田華怜(21=宮城県親善大使)が8日、東京・渋谷区の伝承ホールで、主演ミュージカル「Signs!~微力だけど無力じゃない~」(同所で12日まで)の公開舞台稽古を行った。

 核兵器廃絶の署名を集め、ジュネーブの国連軍縮会議に届ける「高校生平和大使」の奮闘を描く。同大使の活動は国際的にも評価され昨年、ノーベル平和賞の候補になった。

 公演中の9日には、74回目となる長崎原爆の日を迎える。被爆3世の高校生を演じる岩田は、6月に長崎を訪問した。長崎市長へあいさつし、原爆資料館、平和公園、浦上天主堂を見学。高校生平和大使の学生たちとともに署名活動に励んだ。

「高校生たちから等身大の話を聞いた。一番遊びたいだろう時期に、彼らは誰に頼まれるわけでもなく、自分の強い意志で活動している。そのことにとても意義があると感じ、役作りに生かせた。また、長崎の街並みはとても美しかったが、どことなく悲しさも感じられた。そういう微妙な雰囲気は、実際に行かないと分からない。とても貴重な経験だった」という。

 続けて「私は8年前に東日本大震災を経験して上京した。震災は私の体に刻まれ、東北はいつも心の中にある。ずっと震災の傷を癒やす活動をしてきたつもりだが、それでも高校生のころは遊びたい気持ちが強かった」と苦笑した。

 毎年3月11日には黙とうを欠かさなかったが、原爆の日を意識したことはなく、教科書で習っただけの知識しかなかった。「私は74年前のことを知ろうとしなかった若者の一人。でも、今回の経験を通して意識が変わった。原爆のことは、日本人として知っておいたほうがいい。明日、出演者とスタッフ全員で黙とうして、さらに団結できると思う。9日に作品を上演できる縁というか運命を感じており、これには必ず意味があるはず」という。

 大震災では津波の影響で福島第1原発が炉心溶融(メルトダウン)したこともあり、「被ばくは人ごとではない」と放射能の恐ろしさを理解できた。「舞台で沖縄の戦争を扱ったこともあるし、広く世の中を見ることで、被災地は東北だけでないと分かった。世界で核兵器が増え続ける中、歴史をただ悲しむのではなく、若い私たちが記憶を語り継ぎ、絶対に戦争はいやだと主張することが大事だと思う。世界を変えるのは大変だけど、微力だけど無力じゃないと信じて、一歩ずつ進んでいきたい」

 今回は通常の倍となる2か月の稽古期間を経て、初日を迎える。「歌やダンスを通して、原爆や核兵器という難しい問題を、肩の力を抜いて楽しんでもらえたら。長崎の子たちも見に来てくれる。皆さんに喜んでもらいたい」

 AKB48加入以前にも、宮城で子役として活動し、卒業後も舞台に出ずっぱり。10月にも舞台「どれミゼラブル」への出演が控えている。AKB48卒業生では、川栄李奈(24)の成功ばかりが注目されるが、頭の回転の速さと確かな演技力を武器に、地道な活動を続ける岩田もまた“勝ち組”だ。