1969年7月15日創刊の「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)が15日、東京・秋葉原で「創刊50周年大感謝祭」を開催。「バキ」シリーズの板垣恵介氏や「覚悟のススメ」「シグルイ」の山口貴由氏ら人気作家が、制作の裏側や作家同士の関係性を語った。

 故小池一夫さんが立ち上げた「劇画村塾」出身の山口氏(5期)は板垣氏(6期)とほぼ同期。互いに無視できない存在だった。「すごい後輩が入ってきたと噂に。彼は輝いていた。彼の顔の値段は億だった」(山口氏)、「パンフレットに彼(山口氏)の顔写真があった。もうターゲット。こいつを抜かなきゃと思った」(板垣氏)。

 自衛隊に在籍していた板垣氏は、矢沢永吉の「成りあがり」を読んで金持ちに憧れ、「それで選んだのが漫画だった」という異色の出自だった。

 人気キャラの誕生秘話も明かされた。背中に「鬼(オーガ)」の顔を持つ「範馬勇次郎」は、登場人物が背中にドラゴンの入れ墨を入れた海外小説「レッド・ドラゴン」の登場人物をヒントにしたという。

 当初はその通りの入れ墨キャラになるはずだったが、板垣氏は「プロのボディービルダーの背中を見たら平家ガニの甲羅みたいに顔のように見えた。こっちのほうが全然いい。出したのが『顔』に見えるネームだった。解剖学的には正しくないけど、動かすと背中の表情が違って見える」と説明して、自らを「軽く天才」と評した。

「覚悟のススメ」の「葉隠覚悟」が白い学ランを着用するのは編集部から勧められたことも理由だが、山口氏は「僕は『パッチギ2』(映画)のモデルになった町で育って、怖い思いもたくさんした。暴走族も特攻服もいっぱい見てきた。憧れがあった」と語った。

 また、覚悟に倒された肥満体形の敵「破夢子(はむこ)」は「同棲していた女の子」がモデルであり、「すごいお肉がいっぱいあった。これすげえなと思ってた。触感というか」と山口氏は明かした。

 イベントは「弱虫ペダル」作家の渡辺航氏や新旧編集長のトークショーなどのほか、合間に即席サイン会が開かれるなど作者とファンの距離が近く、大盛り上がりだった。