参院選(21日投開票)に立憲民主党から比例代表で出馬した元「モーニング娘。」の市井紗耶香氏(35)が10日、タトゥーについて口を開いた。市井氏は耳の後ろに小さなタトゥーがあり、ネットを中心に批判的な意見が飛び交っていた。これまでこの件について言及してこなかったが、なぜ話したのか。背景にはあの“先輩”がいるようだ。

「タトゥーは事実です。消すつもりはありませんし、どういった思いを持って入れたんですかというのも今はお答えするつもりは特にないですね」

 本紙記者の「タトゥーに批判の声があるが、ご自身の見解は?」との質問に、市井氏は真っすぐ正面を見据えて思いを語った。続けて「ただ、一人ひとりが個性を認め合って尊重し合える、思いやりのある社会であればいいと思っています」と偏見のない社会を目指したいと話した。

 タトゥーを入れた事情が気になる人もいるはずだが、プライバシーに深くかかわる話でもあり、現状ではこれが精一杯の回答だろう。

 確かに日本ではタトゥーに対して厳しい視線が注がれがちだ。ネットでは「これはまずいだろ」「タトゥーしてる人が悪い人とは言わないけど、線引きは必要」という批判的意見から、「問題ない。こんなのがニュースになる日本がおかしい」という擁護の声もある。

 この日の市井氏は、タトゥーについて話しただけでなく、報道陣の取材に気軽に答えた。選挙の手応えについて「子育てをしているお母さん方は児童手当を増やしてほしい、病児保育(保育園に通園している子供が急病になったときに、仕事を早退できない親に代わって子供の世話をする施設や人)が少ないと苦労されている。お母さん方から、子育て世代として頑張ってくださいと言われるのは励みになる」と語り、自身の主張である子育て支援拡充が求められていると実感している。

“ペアルック”で演説を行った蓮舫氏(51)と演説の仕方まで似ていることについては「いやいや、まったくレクチャーはありません。自然とですね。映像は見させてもらいました」。蓮舫氏の決めセリフである聴衆に共感を求める「いかがでしょうか!」をほうふつとさせる「いかがですか!」を使うなど、かなり研究した跡がうかがえる。

 報道対応をしたとはいえ、何でも話すわけではないという。関係者は「今井絵理子さんについてのコメントを求めたら『それはちょっと…』という反応でした。NGだというんです」と明かした。元「SPEED」の今井氏は同世代のアイドルであり、政治家として先輩に当たる。

 永田町関係者は「今井氏を反面教師にしているのでしょう。(沖縄出身の)今井氏は必ず聞かれると分かっていた沖縄問題について、なかなか真正面から答えなかった。ひと言でもいいからしっかり答えていれば批判は少なかったはず。アイドル出身は勉強不足のイメージがついた」と指摘した。

 同じアイドル出身という目で見られてしまうとマイナスになりかねず、少しでも今井氏とは距離を置いた方がいいのは間違いない。タトゥーのことは市井氏にとって聞かれると分かっている質問で、言及することで今井氏との違いを見せられることになった。

 市井氏はこの日の演説で「今の日本は、本当に子育て世代に温かい国になっているのか疑問に思う」と幼児保育や児童手当拡充を訴えた。元アイドルよりも子育て当事者をアピールして選挙戦を戦い抜くつもりだ。