日本初の在宅で卵巣年齢を計測できるチェックキット「F check」(1万9980円、税別)が10日発売された。指先から採った0・1ミリリットルの血液を検査機関に郵送して、約10日後にはスマホなどから結果を閲覧できる。

 計測するのは「AMH」というホルモンの数値で、卵巣に残っている卵子の数(=卵巣年齢)が何歳相当であるかを診断する。同じ年齢の女性でも卵巣年齢には個人差がある。残数が少なければ早めの対策が必要で、ライフプランを考えるきっかけになる。

 都内のプレス発表会に登壇したフリーアナの高橋真麻(37)も事前にキットを体験して「実年齢よりは若い年齢が出た」という。だが、イベントで対談した不妊治療に詳しい医師の齊藤英和氏から「生理があっても妊娠できるわけではない」「卵子の1か月の減少数は1000個」「医師としては20代で結婚して、20代で産んでもらいたい」などの現実を突き付けられ、「焦ります」と口にした。

 高橋は妊娠・出産に期限があることを「10代のころの保健体育で教えてもらってない」と訴えた。これに齊藤氏も同調する。「学校の教育課程で体の変化を習うべき。生理があれば妊娠できると思ってる人がまだまだいる」と話し、高齢になってから慌てる女性が引きも切らないという。

 齊藤氏は不妊治療に長年取り組んできた経験から「不妊治療の助成金の制度も大事だけど、不妊にならないようにすることのほうが大事。不妊治療に時間をかけると、会社に恨まれもするし大変だよ。早く妊娠して出産すれば、今行われている不妊治療の8割はやらなくていいんだよ。我々が商売上がったりにならなくてはいけない」と話す。

 卵巣年齢という概念の広まりは、女性だけでなく男性にも考える機会を与えるだろう。病院での検査はより安価だが、仕事で時間のない女性にキットは向いている。