「少年ジャンプ」レジェンド編集者がトークバトル アンケートシステムで遺恨も

2019年07月10日 17時00分

ぶっちゃけトークをした(左から)中野氏、鈴木氏、堀江氏、茨木氏

 昨年、創刊50周年を迎えた「週刊少年ジャンプ」の世界を存分に楽しめる居酒屋「おとなのジャンプ酒場」が11日、東京・歌舞伎町にオープンする。発行部数を300万~500万部に伸ばした1980年代の“黄金時代”を作り上げたレジェンド編集者たちのトークショーが開催され、個性派揃いのくせ者たちは互いの主張を一歩も譲らずジャンプのバトル漫画さながらの熱い戦いを繰り広げた。

 おとなのジャンプ酒場は11日に開店。店内には「ドラゴンボール」「聖闘士星矢」など今も愛される作品掲載の80年代のジャンプが取り揃えられる。
 それに先駆けて、3人の元編集長・編集者が9日、トークショーを行った。「北斗の拳」「シティーハンター」を担当した5代目編集長で現在は独立した堀江信彦氏(63)。「キャプテン翼」担当の元編集者・鈴木晴彦集英社常務取締役(63)。「ろくでなしBLUES」担当の8代目編集長の茨木政彦集英社常務取締役(62)。司会を11代目の現編集長の中野博之氏(41)が務めた。

 堀江政権下で副編集長だった茨木氏は冒頭から「めっちゃいじめられた」と元上司を糾弾。「堀江さんは普段すげー面白いのに、仕事が絡むと最悪。こうやって(仲良く)しゃべれるようになったのはここ3年。僕の左耳があんまり聞こえないのは堀江さんが編集長のときにいじめられて突発性難聴になった」と暴露し、堀江氏は「かわいがりだよ」と笑った。

 漫画家と打ち合わせをしては感極まって泣いていた堀江氏は「北斗の拳」原作の武論尊氏とすし屋で泣いた。「その後の『蒼天の拳』って続編は僕が全部書いた」と胸を張るも、茨木氏は「アレつまんなかったもんね」と一刀両断。

 編集者同士はライバル関係にあった。「堀江さんの作った漫画なんて読むまいと思ってた」という茨木氏が「ドラゴンボール」を読んだのは「20年後の完全版が出たときに校了したから、たまたま」と明かせば、鈴木氏も「俺も『スラムダンク』は(作者の)井上(雄彦)さんとゴルフする前に徹夜で読んだ」と続ける。

 北条司氏が「シティーハンター」のヒロイン香に堀江氏の長女の名前をつけたというエピソードでは「香ってのは、俺の長女が生まれたときに使ってくれた」と主張する堀江氏に対して、「無理やり使わせたんじゃないの?」(茨木氏)、「じゃあ、なんで(作中で香を)殺したんですか」(中野氏)。新旧編集長から疑問が飛ぶ。「リョウ(主人公)が香をあれ以上愛するとしたら死ぬしかなかった」というのが堀江氏のアンサーだ。

 おなじみのアンケートシステムにも遺恨が残っていた。「キャプテン翼」でアンケート1位を6度獲得した鈴木氏にかみついたのが堀江氏で「そのうちの1回を俺はよく覚えてるよ。『北斗の拳』が始まったとき、鈴木さんが懸賞担当で(賞品に)サッカーボールを付けやがったんだ。それで『キャプテン翼』が(1位に)行ったんだよ」。鈴木氏は「違う違う。俺のことが好きな新入社員が勝手に付けたんだ」と言い訳した。

 当時、苦しかったことについて鈴木氏は「誰とは言わないが」と前置きして、ある漫画家から「出禁」を言い渡されたことを挙げた。打ち合わせで気のない相づちを打っていたところ、「なんだオマエ、ヤル気ねえのかよ」と逆鱗に触れたのだ。原稿を落とすわけにはいかない鈴木氏は「どうしたのかというと、マンションの前でずっとこうしていた。何時間したか」と見事な美しさの土下座を素早く披露した。

 ファン垂ぜんのエピソードが聞けるイベントが今後、同店で用意されるかもしれない。