東京地裁は28日、テクノユニット「電気グルーヴ」メンバー・ピエール瀧被告(52)のコカイン事件で、麻薬取締法違反の罪に問われた“女運び屋”田坂真樹被告(48=元通訳業)に懲役2年6月、執行猶予4年を言い渡した。使用の罪に問われた瀧被告の懲役1年6月、執行猶予3年より重い量刑になった。

 田坂被告は捜査段階でうそをついていた。前回公判でも洗いざらい話したかに見えて、報じられていない不可解証言もある。

 運んでいるのがコカインという自覚は「3~4年前」からあり、それは「売人があるときに『大麻もあるよ』と言ってきて、そのとき『フレンチ』という隠語を使ってた。それを映画で見て知ってたので…」と証言。ただ、世界中で20余りあるコカインの隠語で「フレンチ」というのはネット検索でも出てこない。

 運び屋を8年余り続けた理由の一つに挙げたのが、瀧被告からの「特別扱い」。田坂被告は「ライブチケットを取ってもらいたかった」といい、自身の口座に瀧被告から振り込まれた、少額の3万円台などは「チケット代とか」とした。だがチケット代を田坂被告が振り込むなら分かるが、瀧被告がチケットをくれて、しかも金も振り込むというのも妙な話だ。

 瀧被告の逮捕翌日には、瀧夫人に別宅マンションへ呼ばれ、証拠隠滅を頼まれ加担。瀧夫人はその“コカイン部屋”の存在を知っており、一人で出入りでき、部屋のどこに何があるか把握していたことになる。また当時、田坂被告を車で送った夫は、1990年代に「電気グルーヴ」の石野卓球が発掘し、卓球主催イベントにレギュラー参加するなどしているDJだ。

 そんなつながりに着目し、検察官が「知人に薬物やってる人いるよね」と聞いても、田坂被告は「確実にやってるのを見たことある人はいません」。瀧被告以外との取引仲介をしたことも「ないです」と言い切った。

 事件を機にコカインとの縁は切れても、近しい人間関係はそう簡単に断ち切れまい。