ファンによるアイドル暴行疑惑と事務所の不手際、コカインに大麻のドラッグ汚染…なにかと世間を騒がせている芸能界で、今度は男性アイドルが所属事務所に裁判を起こされるという前代未聞のトラブルが発覚した。大阪を拠点に活動していた男性アイドルユニット「新選組―絆―」の元メンバー4人が、勝手に事務所をやめたとして違約金を支払えと訴えられたのだ。これに対しメンバー4人は、ギャラの未払いなどがあったと本紙に猛反論。ジャニーズやNGTも注目のトラブルの行方は――。
元所属事務所への怒りを本紙にブチまけたのは「新選組―絆―」の元メンバー夏川一成(24)、安達公汰(22)、砂内こうじ(23)、亀澤隼人(27)の4人だ。4人は2016年1月から17年2月にかけてそれぞれが元所属事務所のタレントとなり、「新選組―絆―」として活動していたが、徐々に事務所への不信感を深めていったという。4人を代表して、夏川がこう明かす。
「17年10月に『デモCD200枚を完売できたら本格デビュー』という約束だったけど、達成しても一向に本格デビューの話は進まないまま。いろいろ調べていくと、200枚を完売した後もなぜかデモCDが売られ続けていて、一体どういうことなのかと不信感が生まれたんです」
メンバーは「新選組―絆―」のグループ名が、かつて島田紳助さんがプロデュースしていたアイドルユニット「新選組リアン」(リアンはフランス語で「絆」の意味)と酷似していることもひっかかっていた。
事務所の関係者からは「紳助さんにも話を通している」と聞かされていたというが、夏川は「『新選組リアン』の当時の関係者にお会いしても、僕らの存在を認識していなかった」。
また、ギャラが発生する仕事も少なからずこなしていたにもかかわらず、ほとんど支払われないことも重なって、より不信感を深めたメンバーは「この事務所は何かがおかしい」と一念発起。18年2月末、所属事務所に複数の疑問を突きつけた上で「事務所を辞めたい」とメールを送ったところ、翌日、所属事務所からメンバーに予告なく、公式SNSで契約解除を発表されたという。
メンバーにとっては、結果的に渡りに船だったかもしれないが、その後、不可解な出来事が続発した。
「所属事務所を辞めて、新しく『スワードモンスター』として再出発すべく、ライブ会場を押さえていたのに、いざ使用料を支払おうと会場に行ったら『契約は解除されています』と言われたんです。あとで会場の担当者から聞くと、誰かが僕になりすまして印鑑を持ってキャンセルしに来たと。キャンセルには僕の個人情報も使われており、元所属事務所の人が妨害のためにやったとしか思えません」(安達)
そんななかでも必死に活動を続けてきたメンバーに、さらなる問題が発生した。18年9月、元所属事務所から「辞めた当時の残りの契約日数×3000円を違約金(1人あたり約280万円から約380万円まで)として支払え」と損害賠償請求訴訟の訴状が届いたのだ。
夏川は「現在は僕らが被告となって、元所属事務所と裁判をしている最中です。それでも『スワードモンスター』として活動してきましたが、メンバーが精神的に疲弊し、これ以上の活動は困難との結論に至り、解散することになりました。ようやくファンの方々がついてきてくださるようになったのに残念です」と無念さをにじませた。
今回の告発について、元所属事務所の社長はどう考えているのか? 本紙の取材に、違約金の支払いを求めて裁判中であることは認めたものの、メンバーの告発は否定。
一方で「メンバーが突然辞めて連絡を絶ったことで、直後に迫っていた大きな案件を飛ばすことになり損害が発生した。ちゃんと辞めますと言ってくれていれば賠償訴訟は起こさなかった」と反論した。
芸能事務所とタレントの問題に詳しい弁護士は「残りの契約日数×3000円を契約解除の際に支払えというのは、公序良俗に反している可能性がある。業務委託契約にしろ専属契約にしろ、職業選択の自由に反しているので無効ではないか」と見解を示す。
現在、訴訟は「元所属事務所側の必要書類が出揃うのを待っている状態」(安達)で、今後の動向が注目される。