満点公判・ピエール瀧被告に“難関”家族のためにも早期復帰望むが

2019年06月07日 11時00分

自らを「無職」と語った瀧被告。こんな姿を再び見せる日は――

 世の中も芸能界も甘くはない――。コカインを使用した麻薬取締法違反の罪に問われたミュージシャンで俳優のピエール瀧被告(52=本名・瀧正則)の初公判が5日、東京地裁で開かれ、検察側は懲役1年6月を求刑した。判決は18日。入念に準備してきたとみられる同被告は、真摯に受け答えし、弁護側からは詳細な更生プランも提示された。初公判としては満点に近い内容。瀧被告は音楽活動再開にも意欲を見せたが、懸念材料は多い。

 薬物事案の裁判で重視されるのは、被告の反省ぶりと、薬物依存脱却の道筋を裁判官も納得できる形で、いかに具体的に提示できるかだ。

 瀧被告は黒のスーツにネクタイ姿。職業を聞かれ「ミュージシャンをやっていましたが、所属事務所を解雇されたため、無職です」と答えた。

 起訴状などによると瀧被告は、3月12日ごろ東京・世田谷区の別宅マンションでコカイン若干量を吸引したとされる。
 瀧被告は20代のころからコカイン、大麻を常習。ミュージシャンとして世界中を旅する中で、違法薬物を入手しやすい環境にいた。

「ミュージシャン以外の仕事も入るようになり、精神的に追い込まれていたのかもしれません。生活リズムの違いから、家族と会話する時間もなくなり、深夜の限られた時間に息抜きをと考えた時に、コカインに代わるものがなく、使ってしまいました」

 重要なのは、そうした環境から距離を置くことだ。瀧被告は薬物の入手先である田坂真樹被告(麻薬取締法違反・譲渡で起訴)とその夫であるテクノDJの連絡先を弁護士同席のもと、削除。使用場所となった世田谷区のマンションは今月いっぱいで解約するとした。

 現在、瀧被告は家族と過ごす傍ら、薬物治療の専門施設に通院。証人出廷したのはその施設の担当医で、瀧被告は臨床心理士とマンツーマンで全24回のプログラムを受けている最中という。

 担当医は依存度テストで瀧被告が1項目しか該当しなかったことを明かした上で「彼は依存症ではありません。きっと更生できると思います」と断言。法曹関係者は「両親や妻ではなく、専門医が証人出廷するのは異例。更生をアピールするのが狙いだろう」と話す。

 瀧被告は終始、ハキハキとした口調で答え、裁判官はその話に大きくうなずいていた。しっかりした治療プランも提示しており、心証は悪いはずがない。

 すべては早期復帰のため――。瀧被告は「妻と子供を養わなければいけない」と語り、今後については「ミュージシャンとしてやらせていただけたら…」と述べた。

 テクノユニット「電気グルーヴ」でコンビを組む石野卓球(51)とは保釈後に面会。法廷では「相方にも迷惑をかけた」とわびたが、すでに水面下で活動再開の話が進行しているという。それでも懸念材料がないワケではない。瀧被告を知る人物の話。

「コカイン入手先の田坂被告とは30年来の付き合い。連絡先を消しても、瀧被告の周囲でつながっている人がいれば、完全に切れたとは言えない」

 田坂被告の初公判は25日の予定で、内容次第で“満点回答”した瀧被告にも影響を及ぼす。

 不義理の清算も終わっていない。瀧被告は逮捕によって損害を与えた仕事先に対して「本当は関係者に謝罪に行かなければいけないところですが、外には出られない状況で…」と言葉を濁した。

 週1回の通院やマスコミの存在を気にかけているのだろうが、芸能プロ関係者からは「保釈されて2か月たつ。理由はどうあれ、あれだけのことをしたのだから、真っ先に頭を下げに来ないとダメだろう」と厳しい言葉も飛ぶ。

 音楽活動再開も見切り発車だ。瀧被告は所属事務所を解雇された身。ただ電気グルーヴとしては所属レコード会社から作品の出荷停止などの“処分”を食らったが、契約解除になったわけではない。「あくまでも最終的にGOを出すのは元所属事務所であり、レコード会社。解雇された男が『やりたい』と言ってすんなりOKが出るかどうか」(音楽関係者)

 本紙取材に元所属事務所の担当者は「電気グルーヴ? 何も聞いていませんし、決まっていません」とコメントした。

 前途多難なことに変わりはない――。