性暴力やセクハラで複数の女性から訴えられていたハリウッドの元大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏(67)が、原告らと総額4400万ドル(約48億円)で和解する方向で交渉が進んでいることが分かった。米紙ニューヨーク・タイムズなどが先週、報じた。

 同紙によると、ワインスタイン氏は2人の女性への性暴力容疑でニューヨーク州当局から刑事訴追され、約80人の女性からはセクハラなど不適切な行為をしたとして民事で訴えられている。

 今回提示された金額の内訳は和解金3000万ドル(約33億円)と法廷費用1400万ドル(約15億円)。刑事訴訟の被害者への賠償が含まれているかは不明。和解が成立した場合、保険などから支払われる。米国では経営者サイドの多くが、セクハラやパワハラなどで訴えられた場合に備え、告発準備保険などに加入しているという。

 ワインスタイン氏は「恋におちたシェイクスピア」や「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ、「英国王のスピーチ」など多数の米アカデミー賞受賞作品を手掛けるなど、ハリウッドで最も影響力を持つプロデューサーとして知られた。

 だが、2017年10月にタイムズ紙と米誌ニューヨーカーのセクハラ被害者による告発記事がきっかけになり、過去数十年にさかのぼり同氏が繰り返してきたとされるセクハラ行為の数々が発覚。被害者の中には米女優のアシュレイ・ジャッド、ローズ・マッゴーワン、グウィネス・パルトロウらも含まれる。

 ワインスタイン氏を告発した一連の報道は、性的嫌がらせ撲滅を目指す「#MeToo運動」の発端となった。その後、同氏は米映画芸術科学アカデミーや映画関係者が所属する各団体から除名処分を受け、事実上ハリウッドから追放された。