藤井七段との対戦も楽しみに 名人位獲得で3冠・豊島時代へ

2019年05月18日 17時00分

 将棋の第77期名人戦七番勝負・第4局が17日、福岡・飯塚市で行われ、挑戦者の豊島将之2冠(29)が133手で佐藤天彦名人(31)を破り、4連勝で初の名人位を獲得した。豊島新名人は王位・棋聖と合わせて3冠となった。平成生まれの名人は初めて。

 8歳時に「恐るべき少年」と呼ばれた天才がついに将棋界の頂点に立った。2007年に16歳でプロ入りしてから、精度の高い差し回しで高い勝率で「近い将来タイトルを奪うのは確実」といわれた。しかし、この恐るべき天才をもってしても、タイトルの壁は厚かった。

 10年に王将戦で初のタイトル挑戦権を獲得するも、久保利明王将(当時)の前に敗北。その後14年には王座戦、15年に棋聖戦。17年には王将戦と4度のタイトル挑戦をするも敗れ「ここ一番で勝てない」「勝負弱い」などと言われた時期もある。

 しかし、昨期の棋聖戦で羽生棋聖を破り、悲願の初タイトルを奪うと一気に覚醒。その後、王位も奪うなど、ほぼ無敵状態。平成生まれ初の名人となった豊島新名人は、まだ実感がないのか「実力以上の結果が残せた。ツキもあったのかと思う」と淡々と語った。

 豊島新名人は派手な手こそあまりないが「序盤・中盤・終盤スキがない」といわれるように、正確無比な棋風。今回の対局では慎重すぎるくらい慎重でミスのない差し回しで、佐藤名人を退けた。精密機械のような手順で、AIにも完勝した経験もある。

 無表情でクールなイメージだが、一方で「ひょうひょうとしていてかわいい」と女性ファンも多く「トヨピー」の愛称で親しまれている。16年には対局相手の久保利明九段が遅刻し、1時間正座を崩さずに待っている姿が中継され続けた。その誠実な姿勢が話題になったこともある(結果は豊島新名人の不戦勝)。

 今後は藤井聡太七段(16)をはじめとする若手強豪棋士の目標となるが、覚醒した天才が「豊島時代」を築くことになる可能性は高い。