氏神一番が平成最後の日にプロレスデビュー即引退 小猪木に敗れるも「夢のよう」

2019年05月01日 00時54分

小猪木にコブラツイストを決める氏神一番。右は和田京平レフェリー

 平成最後の日に江戸からの刺客が降臨! ロックバンド「カブキロックス」のボーカル・氏神一番(60)が4月30日、東京・新宿FACEで行われた西口プロレス「プロレスごっこ平成場所千秋楽」に出場し、スペシャルシングルマッチで“小さな闘魂”アントニオ小猪木(47)と対戦した。

 試合は和田京平・全日本プロレス名誉レフェリー(本物!)が担当。バンドメンバーを伴って会場に姿を現した氏神は、派手な衣装がロープに引っかかり、やや緊張した面持ちでリングインした。

 やおらコーナーに上り客席に向かってくもの糸を発射するが、若干足がすべり、氏神は苦笑いしながらゴングを聞くことになる。序盤はかぶき者らしく凶器の刀を出し、小猪木をくもの糸にからめとって斬りつける狼藉を働いた。

 さらにはデビュー戦にもかかわらず、ダブルアームスープレックスからのブレーンバスターで小猪木を追い詰めていく。そして小猪木を軽々と持ち上げてヒザ上に落とし、ギターに見立てて「シェケナベイべー!」と決める“内田式バックブリーカー”を繰り出し、試合を優位に運んだ。

 だが、還暦のプロレスデビューだけに、ロッカーゆえの不摂生からか次第に息切れしてしまう。ここを小猪木が見逃さず、コブラツイスト、さらには腕ひしぎ逆十字、リバース・インディアン・デスロックと必殺技を連発。トップロープからのフライング・ニー・ドロップ、延髄斬りと畳み掛けてダウンを奪い、カウント3が入った。

 氏神はホロ苦のデビューとなったが、小猪木からは還暦祝いの赤いちゃんちゃんこ、和田レフェリーからは赤い公式のレフェリングポロシャツをプレゼントされ、まんざらでもない様子だった。

「拙者は小5の時、金曜8時の『ワールドプロレスリング』に衝撃を受け、アントニオ猪木さん(76)に憧れた。その後、プロレスにのめり込み“千の顔を持つ男”ミル・マスカラス(76)が好きになった。バイトしてはマスクを集め、18歳の時にはお金をためてメキシコに旅行し、実家を訪ねたこともある」と語ると、プロレス通で埋まった場内から「ウォー」と歓声が上がる。

 なにせ、趣味が高じてレスラーへのインタビュー本「心はいつもプロレスラー」(シンコーミュージック)を出版したほどのプロレスファンだ。ほとんどの団体で試合を見ている。

「拙者の若いころは、プロレスラーになりたいと軽々しく言える雰囲気ではなかった。メジャー団体の入団審査は厳しく、リングに上るレスラーたちは雲の上の存在。常人には想像もつかない怪力、運動能力の持ち主ばかりだった。ガリガリのロッカーがリングに立てるわけもなく、せめてステージの上で千の顔を持ちたいと思って、この格好でやってきた」という。

 続けて「たまらなくプロレスが好きで好きで、このあふれるプロレスへの思いを、平成最後の日にかなえることができて夢のよう。だが、これが最初で最後。今日をもってレスラーを引退して、また観客として楽しませてもらう。DDTさんをはじめ複数の団体からお話を頂いたが、プロレスを愛するゆえに身を引く」と、デビュー即引退を宣言した。

 そして、バンドメンバーを従えて、元禄の大流行歌「お江戸―O.EDO―」を熱唱すると「負けてしまったが、内田ファミリーの一員としていつでも心に反骨精神を持ち、ロッカーとして戦い続けるという心意気は見せることができたと思う。オヤジ、向こうで見ていてくれたか」と、3月に亡くなった“日本ロック界の父”内田裕也さん(享年79)に語りかけた。