お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣(38)が25日、都内で行われた「第86回毎日広告デザイン賞」表彰式に出席した。

 昨年11月に毎日新聞に掲載された著書「新世界」(KADOKAWA)の広告が、広告主参加作品部門の最高賞を受賞。西野が自腹で広告スペースを購入し、コンセプト、デザインを考えたという。1931年に発足したコンクールの歴史の中で、芸能人の広告作品の受賞は初の快挙だ。

 賞を授与された西野は「僕は芸人をやったり、絵本を描いたりしているが、広告は縁がなく、場違いだと思いつつ、何か言わないといけないと悩んでいた。いい感じのスピーチをして逃げ切るか、それともぶち込むのか。平成最後ということで、この雰囲気、メディアの皆さんもいるので、ぶち込むしかない。挑戦するしかない」と語り始めた。

「先日、友達が60歳くらいのおじさんに後をつけられるストーカー被害を受けた。10日間くらいつけられていたある日、マンションの扉の前におじさんが立っていた。そのおじさんは本当にヤバイやつで、ズボンをずらして下半身を出して、郵便受けに出し入れしていた。これは大変だとすぐに110番して、おじさんは警察に連れて行かれた」

 罪状は3つだったという。「一つはストーカー行為の脅迫罪、もう一つはわいせつ物陳列罪、最後は住居侵入罪。ココだけ突っ込むのもカウントされるぞ、という話で勉強になった」。いったい、どこで広告とつながるのかと思いきや、最後までコンクールとの関連はうかがえず。突飛な話題をブチ込んだ勇者・西野に、会場はあっけにとられるばかりだった。

 西野は「以上で話を終えたんですが、この場を借りて皆さまにお伝えしたいのは、挑戦しない方がいい場合もあるぞ、ということ。大失敗した。帰り際にこの賞を返して早く降りたい。受賞した喜びよりスピーチで滑ったほうが大きい。つらい」と言い残して降壇した。

 その後のインタビューでは「いい感じのことを話すと、こいつ逃げたんじゃないかと言われそうなので攻めた。広告に絡めた話じゃなかった。あまり考えていなかったので、いろいろ間違ってしまった」と反省しきり。

「広告の反応までは読みどおりだったが、授賞式は予想外だった。そもそもお笑いが得意じゃないし、その場に合う話を持ってくる腕がない。今は苦手なところから手を引いている。お笑いはやっていなくて、ひな壇にも上がっていない。苦手なところはやらないようにしている」と苦笑した。

 現在は美術館や街、映画、地図作りに没頭。「最近、あまり日本におらず、いろんなところに行っている。絵本の印税を回して、ラオスに学校を造ろうとしている。教育、安全、安心が確保されてからのエンタメ。やるからにはエンタメで世界を取ると決めている。母ちゃんは心配しているが、なるべくスケールの大きいことがしたい」と、世界制覇の野望を口にした。