ギネス世界記録に挑み続ける芸人のチェリー吉武(38)が、「ニューズウィーク日本版」(23日発売)の特集「世界が尊敬する日本人100」に選ばれた。しかも、元マリナーズのイチロー氏、フィギュアスケートの羽生結弦、芸人の渡辺直美らとともに表紙を飾る快挙。今でも日本では週1でバイトを続けるチェリーがなぜ選ばれたのか。本人を直撃した。

 23日発売された同誌の特集は「世界が尊敬する日本人100」。毎年続けてきた恒例企画だが、2009年7月でいったん休止していた。編集部は「日本版のオリジナル企画で、選定には外国のジャーナリストやライターも協力。10年ぶりの復活で力が入っている。中でも表紙の方々には、これからの活躍が特に期待されます」と説明する。

 その表紙には、イチロー氏、羽生、渡辺、国連事務次長の中満泉氏、詩人の伊藤比呂美氏、元セクシー女優の蒼井そら、セーラームーン。日本を代表するにふさわしい実績とタレント性と知性を持つ納得の顔ぶれが揃った。しかし、場違いな雰囲気の芸人が1人…。

 なぜかと言っては失礼だが、チェリー吉武が羽生らと肩を並べて雑誌の顔になっているではないか。100人中、芸人枠で選ばれたのは渡辺とチェリーの2人だけ。米ニューヨークでの生活を今月から本格始動した渡辺は、インスタグラムのフォロワー数878万人の怪物的人気を誇る。国内外で知名度抜群なだけに「尊敬される」のも納得だ。

 しかし、この記事を読んでいる人も「チェリーって誰?」という人ばかりではないか。昨年、お笑いコンビ「たんぽぽ」の白鳥久美子(37)と結婚したと言えば、ようやく顔が浮かぶかどうかだろう。

 ただ、日本人最多の21個のギネス世界記録保持者(昨年11月時点)は、記録に挑む番組出演によって、海外では“異常”な人気を誇る。

 その記録とは「地面に置いたクルミを尻で多く潰す」「ブリーフパンツの大量早ばき」「マッチの火を舌で数多く消す」などだ。

 今回の快挙にチェリーは「驚きましたよ。めちゃくちゃうれしいことですけど、『尊敬』じゃないですよね(笑い)。必死になってお尻でクルミを割ったり、くだらないことやっておもしろがってもらってるだけで」と謙遜する。マネジャーも「海外では手応えあるんですけど、日本では全く尊敬されてない。事務所(ワハハ本舗)としても、この差を埋めたい」と苦笑いだ。

 チェリーは「日本では、奥さんのバーターでバラエティーに出られても、自力でのネタ見せオーディションは何回も落ちてます。最近も仙台放送のバラエティー番組に落ちたばかりです」と話す。しかし、海外では「ミスターチェリー」と呼ばれ、仕事では豪華な控室にSPまでつけられるだけに落差がありすぎる。

 表紙で国連事務次長の上に配置されていても、日暮里駅の清掃バイトに週1で励んでいる身だ。「100人の中でまだバイトしてるのは僕だけじゃないか」。チェリーの家賃負担は「2万円から5万円になった」というが、まだ白鳥が大半を負担している。「いつか家賃を全部払えるようにしたい」。今度のオーディションには雑誌を持っていくという。