日本アカデミー賞は“大手配給映画の祭典”?

2015年01月25日 16時00分

北野武監督へ反論した日本アカデミー協会・岡田会長

 先日行われた「第38回日本アカデミー賞」の優秀賞発表記者会見で、日本アカデミー賞協会会長の東映・岡田裕介代表取締役会長が北野武監督へ、異例の反論を展開した。

 

 昨年10月、東京国際映画祭でのトークショーで北野監督が「一番ひどいのは日本アカデミー賞」と言ったことに反論したもの。さらに「松竹、東宝、東映、たまに日活。大手以外の作品が取ったことはほとんどない。全部持ち回り」、「日本アカデミー賞の会員が選ぶっていうけど、会員なんていない」とも話した。

 

 これに対して、岡田会長は「これほど厳正な投票で行われている賞はない。会員の投票によって行われている。東映、東宝、松竹の占める割合は数パーセント」と反論している。

 

 映画関係者は「確かに日本アカデミー賞の会員はいるし、その会員の投票によって行われているのは事実。また大手の占める割合もほぼ岡田会長の言った通りだけど、厳正と言われると額面通りには受け取れない」と指摘した。

 

 ちなみに日本アカデミー賞のHP(ホームページ)には、協会会員資格についてこのような記述がある。

 

「日本アカデミー賞協会会員の資格は、劇場映画に関わる仕事に現在も含め3年以上従事していることを前提として、運営・実行委員会、又は賛助法人より推薦され認められたものとする」

 

 前出の映画関係者は「会員の中で東映、東宝、松竹の社員の比率は高くないかもしれないが、例えば東映の撮影所勤務の人は別会社の所属になるから、東映にはカウントされない。そういった人が結構いる。でもそういう人は東映の映画に投票するから、結局大手は有利」と明かす。

 

 つまり投票自体に不正はないが、大手に関係する会員は多く、結局大手の映画に投票する会員が増えるというのだ。さらにこんな証言も――。

 

「日本アカデミー賞の会員には洋画専門の配給会社勤務の人もいるが、そんな人の中には邦画を全く見てない人もいる。実際に『オレは見たことないから知らない。適当に入れといて』と部下に投げる人もザラにいる」(配給会社関係者)

 

 今年の優秀作品賞に選ばれた映画も東宝2、松竹2、東映1と大手のみ。1つしか入らなかった東映からは吉永小百合主演の「ふしぎな岬の物語」が選ばれた。この作品、今年の日本アカデミー賞では最多となる13部門で優秀賞を獲得している。

 

 前出の配給会社関係者は「これが日本アカデミー賞だよね(笑い)。『ふしぎな岬の物語』は、他の映画賞でほとんど賞に絡んでない。大したヒットでもなかったし、失礼ながら作品としてのクオリティーもかなり低いという声がもっぱら。映画業界では『他の映画賞に選ばれなかったのは当然』と言われている」。

 

 にもかかわらず日本アカデミー賞では13部門で優秀賞受賞。

 

「岡田会長は『小百合シンパ』で知られるし、東映の社員や関連会社の会員はみんなこの作品に投票したんだよ。その結果、13もの部門で優秀賞となってしまったんだろう」

 

 さらにさらにこんなうがった見方も。

 

「岡田会長が北野監督に反論したのは、優秀賞発表記者会見の席。自分のところの映画、しかも小百合さんの作品が13部門で受賞したから、『厳正な投票』と訴えないとまずいと思ったのでは(笑い)。いずれにしても北野監督が言うように、大手が受賞しやすい映画賞なのは昔から有名」(宣伝会社関係者)

 

 日本アカデミー賞は、“大手配給映画の祭典”という位置付けが正しいようだ。