ジャーナリスト・安田純平氏(46)が7日、映画「ある人質 生還までの398日」(19日からヒューマントラストシネマ渋谷、角川シネマ有楽町で公開)のトークイベントに登壇した。

 原作はプク・ダムスゴーの「ISの人質 13カ月の拘束、そして生還」。398日間にわたってシリアの過激派組織IS(イスラム国)の人質となり、奇跡的に生還を果たしたデンマーク人写真家ダニエル・リューの過酷な体験と、その家族の奔走をスリリングかつ感動的に描いている。ISの真実を人質の視点で初めて内側から本格的に描いた映画として注目されている。

 安田氏自身も15年から3年4か月にわたってシリアで武装勢力に拘束され、解放された経験を持つ。「私の場合は日本政府が完全に無視していたので、彼らとしては何としても交渉に引っ張り出したい。1回、私の家族にメールがきたんですよ。ISとかアルカイダの場合は家族に脅迫が来るんですけど、うちはなかったんですよ。一回、『日本政府に連絡取ってるんだけど、全然相手にしてくれないんですけど、どうなっているんですか』っていうメールがきて『連絡先ここだから連絡して』というメールがきた」と武装勢力との意外なやりとりを明かした。

 さらに「今でもシリアの内戦はずっと続いていて大変な状況になっている。終わった話でもないし、どこかの遠い話でもない。今でも起きていることということを考えながら見てほしい」と話した。