反人種差別を訴える「黒人の命も大事だ」運動が拡大する中、奴隷制度が存在した南北戦争時代を描いたハリウッド映画「風と共に去りぬ」の配信を停止した米動画配信サービス、HBO Maxは今週、免責事項をつけて配信を再開することを決めた。米芸能サイト「TMZ」が伝えた。

 同サービスは今月上旬、同映画が奴隷制度を肯定的にとらえた描写が含まれているとのオスカー脚本家ジョン・リドリーによる指摘を受け、配信を止めた。リドリーは19世紀に米国に連れてこられた奴隷の体験を描いた映画「それでも夜は明ける」(2013年)でアカデミー賞脚色賞を受賞した。

 TMZによると、HBOは本編とは別に、「なぜ1939年の映画をオリジナルの形で鑑賞する必要があるのか。その意味を解釈し、話し合うことが大事だ」とする黒人の映画史研究家ジャクリーン・スチュワート氏が歴史背景を解説するビデオを用意する。

 さらに、昨年4月にハリウッドで開催された映画祭の討論会で語られた同作品にまつわる秘話についての映像も同時配信される。

「風と共に去りぬ」はマーガレット・ミッチェル著による長編時代小説の映画化で、当時ハリウッドのトップスターだったクラーク・ゲーブルと舞台出身の英女優ヴィヴィアン・リーが共演した。

 40年のアカデミー賞では作品賞や監督賞など8部門を受賞。中でも家政婦役で助演女優賞に輝いたハティ・マクダニエルは黒人初の受賞となったが、授賞式会場では白人とは別の場所が用意された。

 同映画は様々なメディアによるハリウッド名作選で常に上位にランクインしている。