慰安婦をテーマにした映画「主戦場」を巡って、保守系論客の怒りは止まらない。

 先日、「詐欺映画『主戦場』を糾弾する!」と題した集会の第2回が都内で開かれた。

「主戦場」は、上智大学院生(当時)で日系アメリカ人のミキ・デザキ氏が製作した慰安婦をテーマにしたドキュメンタリー映画。同映画に“善意の出演者”として出演した保守系論客たちが「『中立な視点で描く』と言いながら、われわれの発言は恣意的に切り取られ、なおかつ『歴史修正主義者』などのテロップによる一方的なレッテル貼りをされた」とし、デザキ氏と配給会社相手に上映差し止めの裁判を起こしている。

 さらに、これは学術研究と偽った不正行為であるとし、デザキ氏と彼の主任教授である中野晃一氏を上智大学に告発した。告発人の代表でもある「新しい歴史教科書をつくる会」副会長の藤岡信勝氏は「上智大学に問うのは、学問の良心であり、求めるのはデザキ氏の学位取り消しと中野教授の懲戒だ。しかし、同大の対応からは、デザキ氏を切り捨てても、中野教授には累が及ばないようにという姑息な態度が見える。それは上智大学が研究機関としての死を自ら宣言しているに等しい」と語る。

 やはり被害者であるカリフォルニア州弁護士でタレントのケント・ギルバート氏は「とてもデザキ氏一人の力と知恵で作れたとは思えない。当然、背後にブレーンがいる」とし、組織的な動きがあったことを推論。上智大OGでもある「なでしこアクション」代表の山本優美子氏は「映画のエンドロールには7人の上智大生の名前がある。他にこの作品には、中野氏を含む5人の教授がかかわっていることが分かっている。米国・欧州合わせて53の大学で『主戦場』が上映され、デマが世界中に拡散している」と語る。

「朝日新聞が2016年、それまでの慰安婦誤報を認めて以来、強制連行肯定派は巻き返しの機会を狙っていた。『主戦場』はその一つの結果だ。上智大がその発信基地となっているとしたら、これは日本の学府の歴史を揺るがす大スキャンダルだ」(藤岡氏)

「主戦場」を巡る問題は、製作者と出演者の間のいざこざをはるかに超えた新しいステージに入ったと言えそうだ。