11日に発足した第4次安倍再改造内閣に、韓国音楽界が戦々恐々としている。外相だった河野太郎氏が防衛相に、その外相には茂木敏充氏が就任、菅義偉官房長官は留任と韓国に対する強硬派といわれる面々が、重要なポジションに就いた。これにより対韓強硬路線はよりレベルアップしそうだ。日本を巨大市場とみてドーム公演などをこなしてきたTWICEに代表される“韓流アイドルビジネス”を展開してきた韓国の音楽業界は「日本公演ができなくなるかも」と青ざめている。

「日韓関係が最悪といわれる状況で、韓国では日本製品の不買運動を展開する動きが活発化。それに加え、対日輸出規制を進める流れになっていますが、韓国の音楽界はそれが“韓流コンテンツ”に広がることを懸念する声であふれている。今回の安倍内閣が対韓強硬路線を継続する可能性が高いことを知り、韓国の音楽界には『終わりだ…』と口にする人もいる」(レコード会社関係者)

 第4次安倍再改造内閣では、7月に駐日韓国大使に「極めて無礼」と抗議した河野太郎前外相が防衛相になった。新外相にはタフネゴシエーターで知られ、安易に妥協しない茂木敏充氏が就任。「新閣僚のメンツを見ると、悪化する一方の日韓関係がさらにこじれることはあっても、改善することはまずないだろう」というのが大方の政界関係者の見方だ。

 当然、日韓関係の悪化が韓国の音楽業界にも大きな影響を及ぼすことは間違いない。2012年には当時の李明博韓国大統領が竹島に上陸したことがきっかけで日韓関係は険悪になり、その年の大みそかのNHK「紅白歌合戦」から韓国勢が姿を消したことはその最たる例だろう。

 日本では2017年ごろから、若者を中心に「第3次韓流ブーム」が到来。一昨年、昨年のNHK紅白歌合戦には、K-POPグループ「TWICE」が2年連続出場を果たし、韓国では「韓流復活」と好意的に報じられてきた。だが「今年の紅白にTWICEが3年連続で出場することはかなり難しいのでは? 日韓関係の悪化の影響は避けられないから」と音楽関係者。

 TWICEだけではなく、さまざまな韓国グループが日本で活動してきたのは、やはり市場規模が大きいからだ。TWICEが今春、日本初のドームツアーを3都市5公演で開催し、約22万人を動員したことからも分かるだろう。

 韓国グループとしては日本での人気を気にしなければならないと同時に、もっと重視しなければならないのが国内の世論だ。政府が国策としてバックアップしていた“韓流コンテンツ”は「韓国が世界に誇れるもの」として同国民に認識されているからだ。

「日韓対立が深まり、日本市場が大切なことは分かっていても“日本だけにこびること”は許されないムード。例えば、日本でコンサートをした際、昔ならサービスで日本語で日本の曲を歌ったりしてましたが、今は韓国に伝わると、『なんで日本語の歌を歌っているんだ!』『恥ずかしくないのか!』と激しいバッシングを浴びる。一番恐れているのは、韓国内から『日本に行くな!』という声が噴出することです」(韓国の音楽関係者)

 韓流アーティストが日本で活動した際も、日本人にどう伝わるかよりも「韓国のファンにどう伝わって、国内で反発などが起きないか」に非常に神経質になっている状況が、今後さらにシビアになるのは間違いない。

 韓国の音楽界は「この先、日本で公演が開けなくなるかも」という恐怖と闘うことになる。いずれジャパンマネーを念頭に置いたビジネスモデルからの脱却を迫られそうだ。