紅白に激震! 韓国最高裁が10月30日、植民地時代に強制労働させられたとして元徴用工の韓国人4人が、新日鉄住金(2012年に新日本製鉄と住友金属工業が合併)に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、原告請求通りの4億ウオン(約4000万円)の賠償を命じた二審判決が確定したことは、日本政府や経済界のみならずNHKにも波紋を広げそうだ。「国際法に照らしてあり得ない判断だ。政府として毅然として対応する」と安倍晋三首相(64)も猛反発している状況では、大みそかの紅白歌合戦に出場内定といわれる韓流アーティストを締め出すしかなくなる!?

 日韓の国交が正常化した1965年に結ばれた日韓請求権協定は、両国と国民の間の財産や請求権の問題が「完全かつ最終的に解決されたことを確認する」と明記している。日本政府はこれで解決済みとの立場だ。

 韓国も盧武鉉政権下の2005年「賠償を含めた責任は韓国政府が持つべきだ」との政府見解を出している。しかし、韓国最高裁はこれを退け、不法行為による個人の請求権は協定では消滅しないと判断した。

 今回の判決は、日本企業を被告とした韓国での同種の14件の訴訟のうち一、二審で賠償命令が出された11件にも影響しかねず、日韓の外交・経済関係に大きな影響を及ぼすのは不可避。日韓請求権協定を覆した韓国最高裁の決定に日本政府は猛反発している。こうした状況が、NHK紅白歌合戦の出場者選考に大きな影響を及ぼすのは必至とみられている。

 昨年の紅白にはK―POPの9人組ガールズグループ「TWICE」が初出場した。その模様は韓国でも放送され、同国メディアは日本の風物詩である紅白のステージで自国のアーティストが躍動するサマを得意げに報じていた。

 今年は昨年に引き続きTWICEと、K―POP史上初めて全米音楽チャートで1位を獲得した7人組男性グループ「防弾少年団」(BTS)の初出場が有力視されている。だが、徴用工判決を受け、状況は一変した。政界関係者はこう語る。

「今回の韓国最高裁の判決に官邸は本気で怒っている。北朝鮮問題で一度は雪解けムードも漂ったが、日韓関係は再び“冬の時代”に逆戻りした。そんな状況下で紅白に韓国を代表するアーティストの出演を許せば、いい笑い者だ!」

 文在寅大統領は15年12月に当時の朴槿恵政権下で交わされた慰安婦問題の「日韓合意」について「問題は解決できない」としており、日本側の不信感を呼んでいる。今回の徴用工判決でも、安倍首相は同日の衆院本会議で「完全かつ最終的に解決しており、この判決は国際法に照らしてあり得ない判断」とした上で「日本政府として毅然として対応する」と宣言。野上浩太郎官房副長官は「国際裁判も含め、あらゆる選択肢を視野に入れ、対応を講じる」と強調した。

 こうした官邸の空気感をNHKが“忖度”しないはずがない。音楽関係者の話。

「かつては時の政権にも批判的な報道を行ってきたNHKだが、このところはすっかり骨抜きにされ、官邸の顔色をうかがうばかり。紅白の選考はほぼ終わっているが、このタイミングでひっくり返して、再び『韓流ゼロ』にかじを切る可能性は十分ある」

 事実、NHKは韓流アーティストを“排除”してきた過去がある。12年8月に当時の李明博大統領が竹島に上陸し、天皇陛下に謝罪を求めると、日本国民の反韓感情が爆発。その前年の紅白では3組もの韓流アーティストが出演していたが、12年には出場組数がゼロ。昨年のTWICEまで韓流アーティストは紅白の舞台から姿を消していた。

「NHKが恐れているのは下手なことをして、受信料の不払い運動が起きること。リスクを冒してまで韓国人歌手を出す必要はないという判断になるのではないか」(同)

 現実にそうなれば、楽しみにしていたファンには悲報だが…。

【過去にも締め出し】韓流アーティストが紅白を席巻したのは2011年。女性アイドルグループ「KARA」と「少女時代」、男性アイドルグループ「東方神起」が出場歌手に選ばれた。

 東方神起は08年に初出場を果たしており、11年は3回目だったが、KARAと少女時代はともに初選出。日本でブームを呼んだ韓国勢の台頭が注目された。ビデオリサーチ調べの瞬間視聴率(関東地区)でKARAが38・4%、少女時代は39・9%の数字を記録した。

 12年は前出3組のほかに男性グループ「BIGBANG」「2PM」の出場もあるかと一部で観測されたが一転、ゼロに。韓国のネットでは批判の声も上がった。その背景とも噂された竹島問題との関連について、NHKの担当者は当時「私の中では原因ではない」と語っている。