声優でシンガーの中島愛といえば、まず思い浮かべるのは声優としてのデビュー作でもあるアニメ「マクロスF」のランカ・リー役という人が多いかもしれない。代表曲も、“ランカ・リー=中島愛”名義で歌った「星間飛行」(オリコン最高位5位)ということになりそうだ。

 まあ、マクロス関連曲はいわば“企画物”なので、そこから離れた楽曲に注目してみると、やはり外せないのが「TRY UNITE!」ではないだろうか。中島愛名義では6作目のシングルで、2012年放送のアニメ「輪廻のラグランジェ」オープニング曲。この曲の最重要ポイントは、作曲・編曲を手掛けたラスマス・フェイバーの存在にある。ラスマスはスウェーデンの音楽プロデューサー、ミュージシャンで、ハウス、テクノ、ジャズ、そしてポップスを巧みにミックスさせた独特のサウンドで知られている。日本のアニメに対する造詣も深く、アニソンをカバーしたアルバムも多数リリースしているほどだ。

「TRY UNITE!」もオシャレなコード進行と浮遊感のあるメロディー、近未来的なビートなど、ラスマス・サウンド全開の楽曲。このサウンドに、中島愛の声質が絶妙にマッチしているのだ。ラスマスは他にもアニメの主題歌を手掛けているが、ボーカルとのマッチングは中島愛を起用したときが最も合っていると思う。

「輪廻のラグランジェ」では2期のオープニング「マーブル」もラスマス&中島コンビだが、こちらも相性バッチリ。「TRY UNITE!」も「マーブル」も発売から10年もたってしまったが、全く古びることなく、最新のサウンドとして響く。いや、10年先取りしていたのかも?