【Ray「sign」】

 2012年放送のアニメ「あの夏で待ってる」は、夏休みに高校生たちが8ミリ映画を撮影するという物語。そのオープニングで使用されたのが、Rayの「sign」だった。

 イントロのフレーズが流れ始めた瞬間に“何かステキなことが起こりそうな、ワクワクする夏の予感”が満ちあふれてくる。個人的には、この四半世紀に聴いたアニソンの中では、この曲が文句なしに「イントロ大賞」だ。

 そのイントロに続いて、Rayのこれまた清涼感たっぷりな歌がスタートする。良い歌詞、良いメロディー、良いボーカルが三位一体となってアニメの主題歌という枠にとどまらない、超良質なサマーポップスが4分44秒というタイムを一瞬に感じさせてくれる。

 ところで、CDシングルにはカラオケバージョンが入っていることが多いが、聴かずに飛ばしている人もいるのでは? だが、この「sign」のカラオケは必聴だ。どうしても普通は楽曲を聴くときに、歌そのものに耳が行ってしまう。そのため歌の背後で鳴っている音は、耳には当然入ってきていても特に意識しないことがほとんど。だから歌抜きの「sign」を聴いたときには驚いた。すさまじく完成度の高いアレンジや、考え抜かれたフレーズ。特にサビで流れるキーボードのリズミカルなメロディーは、歌入りだと気が付かないほどである。もしこの曲のCDを買うなら、ぜひカラオケ入りのシングルを。

 ところでRayは「sign」がデビュー曲だったが、残念ながら17年に歌手活動を終了してしまった。2枚目以降のシングルも佳曲揃いだっただけに、またいつかその歌声を聴ける日が来ることを願っている。