日本全国に増え続ける面白い名前のパン屋のプロデューサー・岸本拓也氏が、もし地方の町をプロデュースしたら? 新規開店のために日本を飛び回り、地道な調査を重ねる岸本氏。蓄えた知識を“町おこし”に生かしてもらおう、という連載です。

【神奈川・秦野②】

 秦野市はレジャースポットとしても人気です。ツーリングで行かれる方々には、ヤビツ峠という非常に狭くて険しい道が人気の場所でもあります。また、菜の花台展望台という場所から見る秦野市の景色が格別で私自身、そこへ行くたびにいつも癒やされています。

 レジャーとしては、秦野市では大規模なものから小規模なものまでさまざまなお祭りが年に何度か開催されますが、中でも有名なのが「秦野たばこ祭」(今年の開催は中止)です。このお祭りは、たばこの生産地でもある秦野市で毎年9月の第4土日に開催され、毎年30万人規模の見物客が訪れます。ただ、最近は分煙を促進する動きが高まっているので、お祭りの名前を変えるべきだという声も一部からは上がっているようですが、それでもこのお祭りは変わらず人気のイベントであり非常に有名です。

 9月にオープン予定の新店舗「ツッパリの宿命~肌の純愛物語~」の店名はバイク乗りの方が多く訪れることや秦野市をいちずに愛するファンがいることからインスピレーションを受けて、名付けました。

 秦野市で有名なものは他にもあります。それは名産の「落花生」です。これは伝統の味で非常に風味が豊か。盆地という土壌が落花生に適しているため、主要生産地でもあります。秦野に来て落花生を買われる方は本当に多い。実は私もこの秦野市の落花生の大ファンです。お酒が好きなのでビールのおつまみとしても最高ですし、お中元に秦野の落花生を贈ることもあります。とても香ばしくておいしいので皆さんに喜ばれます。なので、新店舗でもピーナツを生地に混ぜ込んだパンを販売しようと考えているところです。

 また、名水から作られる地酒も有名です。秦野市の金井酒造さんで作られている「白笹つづみ」という日本酒がとてもおいしい。私が秦野市を訪れた際はよくこのお酒を買っています。コクのある味とふくよかな香りが特徴で、日本酒好きな方にはぜひ試してもらいたいと思いますし、秦野市はレジャーに限らずお酒好きの方にも堪能してもらえる場所だと感じています。

 さらに、名水から作られるおいしいものはお酒だけではありません。秦野市にある「手打ちそば石庄庵」というおそば屋さんによく行くのですが、素朴な味で本当においしい。おいしい水のおかげで秦野市にはおいしいおそば屋さんがたくさんあります。
 秦野市はこういったたくさんの自然の恵を観光資源としてもっと活用していけたら良いのではないでしょうか。