【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】東南アジアで有名な“貞子似”の女幽霊が、インドネシアの首都ジャカルタ郊外に出現!?

 ジャカルタ南郊・デポック市の小集落カンポンウタンを流れる川に、二輪車と歩行者専用の小さい橋が架かっている。そこに設置されている監視カメラが、さる16日午前2時、奇妙な映像を捉えた。

 通り掛かったバイクの後部座席にまたがる人影が、袖と裾が長い白装束で、黒いロングヘアの“幽霊”っぽいのだ。この時期のジャカルタは最高気温30度前後、最低気温は25度弱で長袖は確かに不自然だ。

 この監視カメラ映像をスマホで撮影した動画がインスタグラムに投稿されるや、たちまち拡散。人々は「クンティラナックじゃないのか?」と騒ぎ始め、地元メディアもこぞって取り上げた。

 クンティラナックとは、インドネシアやマレーシアの古い民間伝承で語られる幽霊。同じインドネシア語で「マティアナック」という別名があり、マレー語では「ポンティアナック」と呼ばれる。何らかの理由で亡くなった妊婦の悪霊とされ、その特徴が真っ白な顔で赤い目、そして長い黒髪に白い服なのだ。

 現れる時は子供の泣き声が聞こえてくるという説や、プルメリアの花の香りがするという説も。狙うのは男性で、生き血を吸って殺す。中には特定の男性に恨みをもち、内臓をむさぼり食ったり、男性器をズタズタに引き裂くクンティラナックも。日中はバナナの木に潜んでいるが、夜になると出現し、洗濯物の匂いで標的の男性を探すのだとか。そのためインドネシアやマレーシアでは、夜まで洗濯物を干しておくのがタブー視されている。

 名作ホラー映画「リング」の貞子のように、現地ではたびたび映像化され、一昨年にはネットフリックスもオリジナル映画を製作している。

 地元ニュースサイト「IDNタイムス」が現地取材すると、「あの橋では昔からクンティラナックが出るって言われていた」「橋の下にたたずんでいたって話も聞いた」「あの橋を通る時はいつも鳥肌が立つ」といった地元民証言が出るわ出るわ。

 ただ現場近くの別の監視カメラ映像を確認する限り、バイクの後ろに乗っているのは確かに白っぽい服装だが、髪の短い男性のように見える。

 ネット民は「幽霊らしく空を飛ぶのに疲れたのでは」「ヘルメットしてない。交通違反だ」などとちゃかし、現地高官ウェンディ・ヌール氏はIDNを通し「私も映像を見たがクンティラナックではないだろう。いたずらに不安をあおってはならない」とクギを刺している。

 ☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「ルポ新大久保 移民最前線都市を歩く」(辰巳出版)。