20世紀のシンデレラという、ちょっと古風な名称は、まさに彼女のためにあるのでしょうね。グレース・ケリー。裕福な家庭で育ち、ハリウッドで活躍したオスカー女優で、満26歳の時にレーニエ3世と結婚。モナコ公国の公妃になりました。1男2女に恵まれたものの、1982年、52歳で自動車事故死。怒とうのような幸せと不幸です。

 今回の切手は55年、彼女が映画「喝采」でアカデミー主演女優賞を受賞し、オスカー像を受け取った時の写真をもとにデザインされています。授賞式の動画を見ると、シンプルなドレス姿のグレース・ケリーは感謝のスピーチも初々しく、翌年、まさか公妃になるとは誰も予想していなかったでしょう。モナコは凹版印刷(紙幣の印刷によく使われる技法)の切手をしばしば発行する国で、この作品も細かな線と点で美しく印刷されています。 

 切手美人的に考えると、本国モナコだけでざっと数えて約30種類ものグレース・ケリー切手が発行されています。普通切手に登場したこともあるし、昨年は生誕90周年記念切手も出ました。母国アメリカや他国でもグレース・ケリー切手が出ているので、切手界は、この美しいシンデレラをちょっと消費しすぎではないかと心配するこのごろです。