「父を訪ねてミス・ユニバース」フィリピン代表24歳マテオさん

2020年11月22日 10時00分

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】“美のオリンピック”ミス・ユニバースのフィリピン代表が地元で話題だ。

 中部パナイ島イロイロ市出身のラビヤ・マテオさん(24)は、T168・B81・W60・H90のスレンダーボディーと親しみやすい笑顔で審査員を魅了。候補者45人の中から先月、「ミス・ユニバース2020」フィリピン代表に選ばれた。国民の心を打ったのが、地元紙「マハリカニュース」に本人が明かした生い立ちだ。

 マテオさんは母親がフィリピン人、父親は米国系インド人のハーフ。ただ5歳の時、弟が生まれた直後に父は失踪し、女手ひとつの家庭で苦労して育てられた。ベッドはなく、粗末なマットで寝起きする毎日だったという。

 姉弟を養うため母親が懸命に働いたかいあって、地元の高校を優秀な成績で卒業。奨学金をもらい、イロイロ市の医大に進学した。授業料はなんとか賄えたが、講義で使うパソコンは持てず、友人たちに支えられながら大学生活を送った。そんな中でも理学療法士の資格を取り、卒業後は医学系の学校に就職し講師を務めている。

 それと同時にその美貌を見いだされ、モデルとしての活動もスタート。今年はミス・イロイロに選ばれ、ミス・ユニバース代表の座まで射止めた。賞金額は公にされていないが160万ペソ(約350万円)以上といわれ、マテオさんは「まず母親のためにテレビを購入しました」と明かしている。殺到する取材に対し「私のニュースを見た父が、名乗り出てくれることを祈っています」と語っている。

 家族を捨てていなくなった父親だが、恨んでいるわけではなく、そのぬくもりを覚えているという。医学の道を志したのは、父が米国で医師をしているらしいと風の噂で聞いたため。米国に本部があるミス・ユニバースに応募したのも、生き別れた父に会いたいがためだという。

「父が今、アメリカのどこにいるのか全く分かりませんが、必ずもう一度会って『愛しています』と伝えたい。それが待ちきれません。資格を取り、父と同じように医師になりたい」と夢は膨らむばかり。

 さる13日には、ミスに選ばれてから初めて地元イロイロへ帰り、マスク姿で市内をパレード。折しもフィリピンには台風22号が襲来し、ここ数年で最悪レベルの洪水被害が各地で出たばかりだったが、マテオさんは義援金を呼び掛けるなど、ミスとしての社会貢献活動を始めている。

 今後、ミス・ユニバース世界大会に出場することになるが、世界的な新型コロナウイルス禍であいにく日程は未定だという。

 ☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「ルポ新大久保 移民最前線都市を歩く」(辰巳出版)。

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