【マーティ&上坂すみれ 昭和・平成ソングって素敵じゃん】日本ポップスに残る米国50年代テイスト

2020年11月08日 10時00分

いきなり意気投合したマーティと上坂(左)

 昭和生まれの歌手や楽曲を、平成生まれのアイドルと外国生まれのミュージシャンはどう聴くのか――。今回からのゲストは声優・歌手として活躍する上坂すみれ。マーティ・フリードマンと戦後すぐの音楽までさかのぼって語ります。上坂の指摘にマーティが大興奮。「音楽史」の教科書のようなアカデミックなトークが展開! 曲を聴きながら読んでみてください。

【戦後音楽論1】

 ――上坂さんは1991年生まれ。どんな音楽を聴いてきましたか

 上坂 私、メタルが好きで、学生の時はメタルを聴きながら勉強してました。80年代の「LAメタル」、ラットやモトリー・クルーとか、マーティさんがいらっしゃったメガデスも聴いてますよ(スマホを見せる)。

 マーティ これは僕が入る前のアルバムですね。でも、いまから探して聴かなくていいですよ。もう20年も前のことだから。

 ――80年代のメタルブームからカバーしているとは! 少し前に亡くなったギタリスト、エディ・ヴァン・ヘイレンのヴァン・ヘイレンも80年代に大ヒットしました

 上坂 ヴァン・ヘイレンはこのアルバムが好きで、よく聴いてます(スマホを見せる)。

 マーティ これは2枚目「VAN HALENⅡ」(邦題「伝説の爆撃機」。79年)ですね。これ聴いてるの!? 素晴らしいじゃん! 僕は1枚目と2枚目が好きです。邦楽は何を聴いてますか?

 上坂 私、生まれる少し前の曲が好きで、YMOや菊池桃子さん、中森明菜さんとか。

 マーティ それは誰の影響ですか?

 上坂 親がCDを持ってたり、車の中で聴いたり、あと家に有線が引いてあって。

 マーティ 家に有線!? 珍しくないですか。

 上坂 珍しいと知ったの最近です(笑い)。みなさん家に引いてると思ってました(笑い)。50、60、70、80、90…って年代ごとに分かれてたり、チャンネルがめちゃめちゃあって、ずっと曲が流れてました。だから曲名はわからないけど知ってる曲もあります。

 マーティ 僕も家に有線欲しいです。でもなんであったの?

 上坂 わからないです。学校では誰とも話が合わなくて、なんで聴いてないんだろうと思ってました(笑い)。

 マーティ 年代ごとの曲を聴くと、違いがよくわかるでしょ。

 上坂 わかります。それで戦後間もないころの音楽が気になって、靖国神社の遊就館のお店まで行って「戦後歌謡コレクション」的なCDを買いました。

 マーティ すごいマニアじゃん!

 上坂 聴いてると、戦後すぐ、昭和21、22、23年ぐらいの曲にジャズがすごく入ってるんです。これは米軍が駐留していたことも関係あるのかなと思ったんですが、日本人の文化を受け入れるスピードの速さにびっくりしました。

 マーティ すごい! これ大事な話ですよ! 実は僕は50年代のマニアなファンで、山下達郎さんと同じぐらいその時代の話をしたら止まらないんだけど(笑い)、日本人は米国の50年代の音楽を受け入れ、自分たちの音楽と融合して、日本的な歌謡曲を作ったんです。これが非常に面白い融合になったんですよ。

 ―――マーティさん興奮気味ですね

 マーティ そしてそのテイストが今も残ってるじゃん。これが僕みたいなアメリカ人には不思議なんです。向こうはどんどん変わって、60年代ですでに50年代の響きがなくなりました。でも日本のポップスは今も昔の歌謡曲の味、50年代のテイストがたっぷり入ってるじゃん。音色や機材は変わってるけど、メロディーセンスは昔のに通じてて、変わりません。本当に不思議です。

 上坂 全ての国が前の曲の感じを継承しているわけでなく、受け継いでいるのは日本ならではなんですね。これ、日本の特徴だったんだ。

 マーティ そう思います。こんな話になるとは思わなかったですよ。

 ☆うえさか・すみれ 1991年12月19日生まれ。神奈川県出身。上智大学外国語学部ロシア語学科卒。2012年に本格的に声優デビュー。13年にアニメ「波打際のむろみさん」の主題歌「七つの海よりキミの海」で歌手デビュー。ロシア、昭和歌謡、メタルロック、戦車、ロリータ、プロレス、ひげなど多方面の知識を持つ。最新アルバムは「NEO PROPAGANDA」(キングレコード)。

 ☆マーティ・フリードマン 米国・ワシントンDC出身のギタリスト。1990年から2000年までメガデスに在籍。04年から拠点を日本に移し幅広いジャンルで活躍。「紅蓮華」「宿命」などをカバーしたギターインストゥルメンタルアルバム「TOKYO JUKEBO X3」が発売中。

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