【人生を変えることば選び】「言わなくても分かる」の時代は終わった 「ドンマイ」ではなく「ナイス・トライ!」で前に進もう

2020年10月11日 10時00分

【ほめ達・松本秀男 人生を変えることば選び】10月に入り、異動などで新しい仲間との仕事が始まっているかもしれません。コロナの影響で大幅な組織変更があったという話もよく聞きます。下半期も職場で気持ちよく過ごすために、人との接し方やことば選びを確認しておきましょう。

 欧米人は「あいさつ代わりに相手をほめる」とよく言います。実際に私も以前米国資本の会社におり、海外から来た社員たちは、よくほめてくれました。「ヒデオ、ナイス・タイ!」。朝、廊下ですれ違いざまに私のネクタイを笑顔でほめてくれるんです。

 これは、欧米が多民族で成り立っているからだといいます。笑顔であいさつをし、相手をほめることで、「私はあなたの敵ではないよ! 仲間だよ!」という態度を表すためだとか。もっと言うと、「ピストル持ってないよ!」ぐらいの意味もあると聞きました。

 一方で日本は、単一民族に近い国。もともと稲作中心のムラ社会で共同体意識が強く、暗黙の了解がある文化です。いわゆる「空気を読む」ことができる関係だったので、「言わなくても分かるよね」で、ほめもしないし、笑いもしない。あいさつも小声で済ませてきてしまいました。

 とはいえ、もう時代は変わり、核家族で地域の共同体意識も弱まり、人は多様化しています。「言わなくても分かるよね」の時代は終わっています。笑顔であいさつをし、積極的にほめることで、「敵じゃないよ! 仲間だよ!」と伝えて、特に新しい仲間とは最初からいい関係をつくりたいですよね。

 また、ニューヨーク駐在の同僚が、こんなことも言ってました。

「『ナイス・タイ!』ばっかりのほめ言葉じゃ薄っぺらく感じちゃうけど、こっちの『ナイス・トライ!』と言うほめ方はいいと思うなあ」

 失敗をした時に、日本では「ドンマイ(気にするな!)」と言いますが、英語圏では「ナイス・トライ!(よく挑戦した!)」と言います。似ているようにも思えますが、「気にするな!」では相手の行動を失敗と決めてしまうなぐさめ。その点、「よく挑戦した!」は相手の行動自体をほめて、さらに前に進むための励ましです。

 コロナ禍でうまくいかないことも多い中、職場の仲間たちとは「ナイス・トライ!」でお互いに認め合って、前に進んでいけたらいいですね。コロナに負けず、元気に過ごして結果も残しちゃいましょう。

 ☆まつもと・ひでお 1961年東京都生まれ。国学院大学文学部卒業後、さだまさし氏の制作担当マネジャー、ガソリンスタンド経営を経て、45歳で外資の損害保険会社に入社。トップ営業マンとなり数々の実績を作る。現在は一般社団法人・日本ほめる達人協会専務理事を務め、企業セミナーなど多方面で活躍中。著書に「できる大人のことばの選び方」や「できる大人は『ひと言』加える」など。

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