【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】新型コロナウイルス禍で経営破綻したタイ国際航空が、再建に向け動きだした。

 タイ中央破産裁判所は14日、同社の会社更生手続き申し立てを受理したと発表。今後は保有機材の売却、2万人以上いる社員の大規模リストラなどを進めていくとみられる。その一環か、飛行機マニア垂涎のレストランを首都バンコクにオープンした。

 バンコク北部にあるタイ国際航空本社ビル内の社員用カフェテリアを、飛行機の機内を模して大幅に改装。9日から一般開放している。

 飛行機のタラップをそのまま使った2階の入り口から店内へ。窓際にはズラリと飛行機のシートが並べられている。エコノミークラスとビジネスクラスの座席を再利用したもので、早くも「インスタ映えする」と話題だ。

 特筆すべきは店内のスタッフだ。「現役のCAをはじめ、制服をまとったスタッフが店内で出迎えてくれる。タイ航空はキレイどころのCAが多いと評判で、スタッフの制服は民族衣装をイメージしている。巻きスカートがピッチリとヒップラインを浮き上がらせていて、すごくセクシー」とは現地駐在員。

 またスタッフの接客がこまやかで優しく、本当に機内サービスを受けているようだとか。今はコロナ感染対策でフェースシールドをつけているが、それがかえって新鮮だという声もある。お願いすれば一緒に写真も撮ってくれるため、地元のCA好きたちも押し掛けているという。

「日本の入国制限のため帰国できない現地在住邦人の間でも、美人CAに癒やされると口コミで話題。一方、男性店員はパイロットの格好をしたイケメン揃いで、こちらは女性たちの間で人気になっている」(同)

 料理も凝っている。メニューは実際の機内食から本格的なタイ料理や洋食、スイーツなどさまざま。日本人シェフがいて、すしや焼きそばなど和食も提供している。値段は1皿100~200バーツ(約340~680円)ほど。地元の中級レストラン程度で意外とリーズナブルだ。

 旅行できない、飛行機に乗れないご時世だけに、オープンするや大反響。そのためバンコク各所にあるタイ国際航空の支店でも、同様のサービスを行うことを検討しているという。

 タイ国際航空はここ数年、LCC(格安航空会社)に押され、不振が続いていた。そこへコロナの感染拡大が起き、5月に経営破綻。今はフライトもなく、負債総額は3300億バーツ(約1兆1100億円)に上る。(室橋裕和)

 ☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「バンコクドリーム『Gダイアリー』編集部青春記」(イースト・プレス)。