【人生を変えることば選び】クレーム対応で肝心な「共感と小さな謝罪」

2020年09月03日 10時00分

 まだまだ残暑でコロナでと、なにかとイライラが募ります。お客さまからクレームを言われたり、自分も客としてクレームを言ってしまったりすることが起こりがちです。一方でクレームは言われるのも言うのもうれしくないですよね。

 このクレーム対応にもコツがあります。大事なのはクレームを言われたお客さまの心のことばを読むということ。

 クレームを言われるお客さまの心のことばは、ほとんどが「なんで?」です。「なんでこうなの?」「なんでこうしてくれないの?」。つまり、お客さまの期待と違うということ。「こうだと思ったのに」という期待や思いの表明です。

 ですからクレーム対応で肝心なのが、お客さまの思いへの「共感と小さな謝罪」のことば選びです。

「それはご不便を感じたと思います。申し訳ございません」「ご不安だったと思います。失礼いたしました」「ご期待に沿えず申し訳なかったです」

 特にこの「共感」を示せるかどうかで、クレーム解決までの時間が大幅に変わります。「ええ? お客が勝手に期待してるんじゃないの?」。その通りですが、期待をしてくれるお客さまほどいいお客さまであることも多く、将来の常連客がそこには隠れています。

 以前私が損害保険の営業だったころ、「担当を代えろ!」と何度も担当替えを要求されたお客さまがいました。その3番目の担当として私が伺いました。

 起業して数年の社長で、確かに気難しい感じの方でしたが、お話を聞いていると、ご自身の事業への情熱をわかった上で提案してくれる担当者を望んでいたようです。それなのに通り一遍の商品説明をされて、期待外れだったようです。

 まだご立腹の社長に、「そんな思いで起業されてさらに工夫もされているのですね。私もまだよく理解できていませんでした。すみませんでした」と思いに寄り添った上で心からの謝罪をしたところ、一気に関係が変わりました。その後、その会社は私の大口顧客になってくださいました。

 クレームを言う側もしかりです。自分の中の「なんで?」ということを発言前に冷静に振り返ることができれば、声を荒らげなくても、期待と違ったことを伝えれば済んでしまいます。

 何かとイライラしがちなコロナ禍の時期、怒りはストレスも増大させます。この秋はことば選びで心健やかにお過ごしください。

 まつもと・ひでお 1961年東京都生まれ。国学院大学文学部卒業後、さだまさし氏の制作担当マネジャー、ガソリンスタンド経営を経て、45歳で外資の損害保険会社に入社。トップ営業マンとなり数々の実績を作る。現在は一般社団法人・日本ほめる達人協会専務理事を務め、企業セミナーなど多方面で活躍中。著書に「できる大人のことばの選び方」や「できる大人は『ひと言』加える」など。