昭和生まれのアラフォー~アラ還が懐かしむ日本の歌手や楽曲を、平成生まれ世代のアイドルと外国生まれのミュージシャンが語る連載。マーティ・フリードマンとメディアミックスプロジェクト「けものフレンズ3」から飛び出した「×(ばってん)ジャパリ団」の未来みきと小泉萌香がドリームズ・カム・トゥルーを語ります。なぜかドリカムはピンとこないマーティ。その理由を解き明かすと、男性より女性人気が高い理由が見えてきた!? 

【ドリカム論】

 ――今回は2人が名前を挙げたドリカムについてです。未来さんは松浦亜弥、ハロプロも好きと、お2人共通してますね

 マーティ ドリカムとあややって全く音楽性が違うじゃん。あややは超がつくアイドルで、ドリカムはメインストリームでしょ。両方好きな人が同じグループに2人いるって、珍しくないですか?

 未来 そういう話をしたことなかったです。

 小泉 かぶってるって、今知りました。

 ――聴いたきっかけは

 未来 母が好きで、車でお出かけする時によく流れてました。

 小泉 私も親が聴いてたのがきっかけです。実家に縦長のシングルCDがありました。

 ――1990年代までシングルは短冊形の8センチCDが主流でしたね。ドリカムは90年代にブレークしたので、2人の親は直撃世代です。マーティさんはどうですか

 マーティ 僕のストライクゾーンの真ん中ではないんだよね。好きな曲はあるけど、そんなに詳しくはないです。吉田美和さんの声はすてきだし、嫌いじゃないけど、今まであまり聴かないできました。ドリカムのどういうところが好きですか?

 未来 圧倒的な歌唱力があって、楽しそうに歌われるところです。私はあまり歌唱力に自信がないので、うまいところにひかれます。

 小泉 聴いてると、歌を本当に愛してるって伝わってくるんです。高い声も「頑張って高音出してます」という感じじゃなく、心地良く聴けるんですよね。

 マーティ ボーカルは最強ですよね。間違いない。曲もいいし、アレンジもいい。人気なのは超わかります。

 ――2人が好きな曲は

 未来「未来予想図Ⅱ」(89年)です。

 小泉 私は関西出身なので「大阪LOVER」(2007年)です。

 ――聴いてみましょう

 マーティ これ、女の子は好きだと思います。男の気持ちには響かないです。

 未来 女性が共感できる歌詞がたくさんあります。

 ――ドリカムの初ミリオン曲「決戦は金曜日」(92年)はどうでしょう。カラオケで女性に大人気でした

 マーティ 女の子に響くモチーフばかりだよね。

 ――確かに、ドリカムは男性ファンより女性ファンが多い印象です

 マーティ「決戦――」のノリは、男の体に入ってこないです。お母さんが料理作ってるみたいなノリ。男が野球の試合の後に盛り上がって、一緒にビール飲みに行こうとならないじゃん。

 ――それ、わかります

 マーティ A級のアーティストなのは間違いないです。でも入ってこない。僕の中では松任谷由実さんと同じ箱に入ります。スーパー才能にあふれていて、超尊敬するけど、なぜか僕の心に入ってこないんです。

 ――なぜでしょうか

 マーティ 男が女性歌手を聴くきっかけって、好みとか付き合いたいと思えるかだと思うんです。僕は曲を聴くといつも男はどう思うか、女はどう思うかを無意識に分析してるんだけど、ドリカムは男から見てエロっぽさゼロです。“キュルルン”にならないです。だから女性に人気なんだと思います。あと、個人的に音楽的ヘンタイ要素が欲しいです。

 ――ヘビメタ的要素がないのも理由ですか

 マーティ メタル魂はゼロだよね。あややもメタル魂ゼロなんだけど、作り込んで複雑で面白いところはメタルと共通してます。ドリカムは女の人とメタル嫌いな人が好きなのかもしれないですね。

 ☆マーティ・フリードマン 米国・ワシントン出身のギタリスト。1990年から2000年までメガデスに在籍。04年から拠点を日本に移し幅広いジャンルで活躍。

 ☆ばってんじゃぱりだん けものフレンズのブラックバック役・未来みき、タスマニアデビル役・小泉萌香、オーストラリアデビル役・船戸ゆり絵の3人によるユニット。キュートな見た目からは想像できない、ハードロックな楽曲で客席を盛り上げる。デビューアルバム「×・×・×」が発売中。収録曲「どきどき黙示録」はマーティが作曲。自らギターを弾いている。