【人生を変えることば選び】これからの時代に必要なのはほめて動かす「ホワイトエンジン」

2020年07月16日 10時00分

07年、夏の甲子園で優勝した佐賀北高

【ほめ達・松本秀男 人生を変えることば選び】今年は新型コロナの影響で夏の甲子園大会は中止に。大きな目標がなくなってしまった球児には残念ですが、各地で代替大会が行われたり、甲子園では交流試合が行われたりと例年とは違った形の球児の夏に注目が集まりそうです。ところで最近は高校野球に限らず、さまざまなスポーツで指導法が変わってきているのをご存じでしょうか。

 スポーツの指導法といえば、以前は「なにやってるんだ!」と叱る指導が主流でしたが、いまはしっかりとほめて応援する指導が増えています。

 それについて、コーチングを日本に持ち込んだ関西学院大学の名誉教授で、アメフトの監督として甲子園ボウル5連覇を成し遂げた武田建先生に面白い話をうかがいました。武田先生もコーチングを持ち込む前は叱る指導だったそうです。

「ほめても叱っても優勝するんですよ。結果は出せる。ただ、ほめる指導をしたチームは監督がいなくても楽しそうに練習していますが、叱る指導をしたチームは監督がいないとサボる選手が出てくる。同じ結果を出すなら、選手や監督にとって、どっちがいいか?ですよね」

 人の心にはブラックエンジンとホワイトエンジンがあるといいます。叱られたり、ライバル心を燃やして「なにくそ!」とパワーを出すのがブラックエンジン。ほめられたり応援しあって「さらにこうなりたい!」とパワーを出すのがホワイトエンジン。

 どちらも結果を出せますが、ブラックエンジンは排気量が必要でハイオク仕様みたいなもの。はっきりいって燃費がよろしくない。ガス欠する人も出てくるし、レースで勝ち残れるのはごく一部。排ガスもたっぷり出て、ときに組織の環境汚染もしたりして。
 一方のホワイトエンジンは、まさにエコカー。燃費もよく、クリーンで、パワーも十分、どこまでも走り続けます。また、ほめられるだけでなく、ほめることもパワーを生みます。例えば、2007年夏の甲子園を制し「がばい旋風」を巻き起こした佐賀北高校の選手たちは、相手チームのプレーまでほめていたというのは有名な話ですね。昭和世代のおじさんたちからすれば、「そこまで必要か?」と思うムキもあるでしょうが、時代は流れています。
 何より大事なのは人をほめる時は心に余裕が生まれます。そして心の余裕がパフォーマンスにつながります。
 スポーツも仕事も人生も、ほめてほめられ。コロナ禍で何かとギスギスしている時だからこそ、互いに応援しあって結果を出してまいりましょう!

☆まつもと・ひでお=1961年東京都生まれ。国学院大学文学部卒業後、さだまさし氏の制作担当マネジャー、ガソリンスタンド経営を経て、45歳で外資の損害保険会社に入社。トップ営業マンとなり数々の実績を作る。現在は一般社団法人・日本ほめる達人協会専務理事を務め、企業セミナーなど多方面で活躍中。著書に「できる大人のことばの選び方」や「できる大人は『ひと言』加える」など。