渡辺淳之介社長が語るBiSHとWACKの未来像

2020年06月29日 17時52分

BiSHの今後は…

【WACK渡辺淳之介社長インタビュー「BiSHができるまで」(10)】「楽器を持たないパンクバンド」として大人気の女性6人組グループ「BiSH」。人気になった裏には“仕掛け人”として知られるプロデューサー、所属事務所WACKの渡辺淳之介社長(35)の存在がある。連載最終回、渡辺社長が語るBiSH、そしてWACKの未来像とは?

 ――周囲への感謝の気持ちはいつから持てるようになったんですか

 渡辺氏:社会人になるころからですかね。僕は就職活動で大手レコード会社に入れてもらえなかったから、この仕事をやりながら、自分は“ニセモノ”という思いが心にあるんです。そんな自分がこうやって仕事をできるのは、周りの人たちが僕を受け入れてくれ、一緒にやってくれるおかげ。前の会社でBiSをやれたのも、会社の名前とお金があったからこそ。周りの方にはずっと感謝してます。

 ――正直、意外です

 渡辺氏:中学の時とかは「俺はスゲエからスゲエ大人になる」とか思ってましたけど、へし折られ続けてきましたから(笑い)。

 ――人気グループとなったBiSHは今後どう展開していきますか

 渡辺氏:実は戸惑っているんです。ダークホース的というか、どうせ知らないでしょという感じでやってきたのが、状況が変わりました。もちろん、人気があるのはいいことですが、僕たちの気持ちと実力が追い付いてないというか…。

 ――今のBiSHレベルの人気アーティストを扱ったことがなかったからですか

 渡辺氏:本当にその通りで、必死に追いつかなければと思ってます。「水曜日のダウンタウン」のクロちゃんの企画「モンスター・アイドル」も、あんなに話題になると思ってなかったんです。話題になるテレビ番組とのコラボって、大手事務所がやるものだと思ってました。うちは10人ぐらいの小さな会社ですから。逆に大手さんはやらず、うちだからできたのかもしれないですが。

 ――「豆柴の大群」がデビューした企画ですね。プロデュースするクロちゃんの理不尽な言動が大反響を呼びました

 渡辺氏:「パワハラだ。放送中止しろ」という意見もSNS等でありましたが、そういうことを発言したり拡散する前に考えてほしいんです。まかり間違って「世間の意見だから」と放送中止になったら、彼女たちのデビューもなくなってたんです。盛大な“パワハラ返し”になるんですよ。

 ――誰も得しません

 渡辺氏:放送中止に追い込もうとした人たちは、「彼女たちがかわいそう」と言いながら、もっとかわいそうな状況に追い込もうとしてたんです。実は彼女たちもすごく心配していました。「中止したら私たちデビューできないんですか?」って。

 ――SNSによって発信、拡散しやすくなった悪影響も散見されます

 渡辺氏:憤りを感じるのは、アイドルと事務所の関係を“対立構造”ととらえ、「事務所が何もできない弱い立場の女の子をいじめている。かわいそう」みたいなことを言う人がいることです。その人はアイドルに寄り添ったつもりかもしれませんが、これってアイドルをなめてますよね。彼女たちは自分の意思でそこにいて、厳しいことがあってもがんばろうとしているのに、「かわいそう」って、バカにしてますよ。「搾取している」という人もいますが、僕が知る限り、他社も含めどのグループもそんなことはありません。彼女たちがやめたら、僕らも生活できないんですから。

 ――最近、事務所から独立するタレントが増えています

 渡辺氏:投資し育てたタレントを取られるのは嫌ですが、僕らができるのは「ここにいた方がいい」と思ってもらえる環境をつくることです。ずっといたいと思ってもらえるように。

 ――今後、WACKをどうしていきたいですか

 渡辺氏:ハロプロさんじゃないけど、グループ卒業後に女優やテレビタレントができるような、その後のことまで考えてやっていける会社になればと思ってます。

 ――今後BiSHに追加メンバーは

 渡辺氏:必要ならやるでしょうけど、それは風任せというか、メンバーや世間の風を見ながらですね。

☆わたなべ・じゅんのすけ=1984年生まれ。東京都出身。早稲田大学卒。デートピア、つばさレコーズを経て2014年8月に株式会社WACK設立。代表取締役に就任。つばさレコーズ時代にBiSを立ち上げ、マネジャー兼プロデューサーとして数々の伝説的プロモーションを行う。14年7月に第1期BiSは解散。15年1月に「BiSをもう一度始める」とBiSHを始動した。