【人生を変えることば選び】人が希望を持つためにも「根拠のない自信」が大切

2020年06月25日 10時00分

通常モードに戻れず、悩んでいる人も(写真はイメージ)

【ほめ達・松本秀男 人生を変えることば選び】緊急事態宣言が解除になってから、仕事や生活が以前のように戻り始めている中で、なんだか調子が出ない人も多いようです。

 ほぼ2か月、不安を抱きつつ、さらに世の中と切り離されたような毎日。「コロナ鬱」とまでいかなくても、誰だっておかしくもなりますね。

 ただ鬱々とした状態にいる誰かを励まそうと、「がんばれ!」と簡単に言ってしまうのは危険です。人は山を登るような明確なゴールがある時は頑張れますが、出口のない暗闇にいる時は頑張りようがなくなります。

「あと何を頑張ればいいんですか…」「もうこれ以上頑張れないですよ…」とさらに心の傷を深めてしまいます。良かれと思ったことばももろ刃の剣。注意したいですね。

 人が心に希望を持って、少しずつでも歩きだすには、「根拠のない自信」が大切だと言います。「なんとかなる」。たとえそこになんの根拠もなくても、そんな小さな自信で人は動きだせるものです。

 とはいえ、自分が落ち込んでいる時に、自分で「根拠のない自信」を生み出そうとしても、なかなかそうはいきません。そんな時に周りの人のちょっとしたことば選びが、相手に「根拠のない自信」を生み出します。それが「根拠のない応援」です。

 例えば、「だいじょうぶだよ」。この言葉も、何の根拠もありませんよね(笑い)。けれど、そう言われると不思議に「大丈夫かも…」と思えてきます。

 以前、私が営業のマネジャーをしていたころ、公私ともに元気をなくしていた部下がいました。私はいろいろな形で彼を応援していましたが、ゆっくりと元気を取り戻した彼が、ずいぶんと後になって私に言ってくれたことがあります。

「松本さんが言ってくれた『だいじょうぶだよ』に、なんか救われたんですよね」

 彼にとっては、私の何げないことばが、小さな心のともしびになったのかもしれません。「根拠のない応援」は、未来へのゆるやかな希望のことばでもオッケーです。「〇〇さんならうまくいくよ」「すぐに慣れるよ」など。

 心配ごとの9割は実際には起こらないと言います。実は心配なことの根っこにあるのは「根拠のない不安」なのかもしれません。だとしたら「根拠のない応援」で周りをもり立てつつ、みんなで心と体の元気を、ゆるやかに取り戻したいですね。

☆まつもと・ひでお=1961年東京都生まれ。国学院大学文学部卒業後、さだまさし氏の制作担当マネジャー、ガソリンスタンド経営を経て、45歳で外資の損害保険会社に入社。トップ営業マンとなり数々の実績を作る。現在は一般社団法人・日本ほめる達人協会専務理事を務め、企業セミナーなど多方面で活躍中。著書に「できる大人のことばの選び方」や「できる大人は『ひと言』加える」など。