BiSHオーディションで“空気読めない”アイナは落選候補だった

2020年06月13日 10時00分

アイナ・ジ・エンド

【WACK渡辺淳之介社長インタビュー「BiSHができるまで」(9)】「楽器を持たないパンクバンド」として、大人気の女性6人組グループ「BiSH」。人気になった裏には“仕掛け人”として知られるプロデューサー、所属事務所WACKの渡辺淳之介社長(35)の存在がある。渡辺社長はいかにして独自のプロデュース術を手に入れたのか。今回は「BiSH」について。渡辺氏はどう育ててきた?(隔週連載)

 ――BiSHのオーディションでアイナ・ジ・エンドを落とそうとした理由はなんですか

 渡辺氏:オーディション中に空気を読めないことをやったんですよ。歌の審査で、参加者には「1コーラス、短くていいから」と伝えてあったのに、4分ぐらいフルコーラスで歌い切ったんです。

 ――参加者は他にもいるし、ひとりに4分は割けないですね

 渡辺氏:僕たち審査員は「早く終わってくれ~」という目をしてたのに、一曲歌い切りました。こういう子はあまり好きじゃないし、話も合わなそうだから、入れないでおこうと判断していました。今でこそ歌も評価され、人気あるんですけど、あのころは歌もそんなでもなかったんですよ。趣味の問題もあるんでしょうけど。

 ――松隈ケンタさんが止めたんですか

 渡辺氏:松隈さんも、ああいう空気読めないことをする子はあまり好きじゃなかったと思います。

 ――なぜ加入することに

 渡辺氏:落とそうとしたら、周りのスタッフから強く止められたんです。

 ――BiSHを始める上で決めていたことはありますか

 渡辺氏:裸にならない(笑い)。実は自分で会社を立ち上げた時からそれは決めていて、BiSHのメンバーにも話しました。第1期BiSのメンバーからしたら「ふざけるな!」という感じかもしれませんが(笑い)。

 ――その代わりというか、インディーズデビューアルバムのリード曲「星が瞬く夜に」のPVではメンバーが馬ふんをかぶってます

 渡辺氏:やはり最初は「ヘンなことをやらなきゃ」という考えがあったんです。そこに僕の「ウエット&メッシー」的な趣味も入ってきまして。本当は全裸は好きじゃないんです(笑い)。

 ――BiSHは2015年3月から5人で活動を始め、すぐに1人脱退。その年の8月には2人が加入しています

 渡辺氏:僕は辞めたいなら辞めればいいと思っていて、でも辞めるばかりだと、お客さんに“落ち目感”を抱かせるような気がするので、減ったら入れたいんです。新人が加わることで、お客さんに興味を持ってもらえる要素が増えるのはいいと思います。

 ――ハシヤスメ・アツコとリンリンは何かを期待して選んだんですか

 渡辺氏:何かやってくれそうとか、あまり考えないんです。オーディションで見ているのは、この子と仕事をしたいと思えるか。一緒に仕事を楽しめそうか。第一印象というか、フィーリングで選ぶことが多いです。アユニ・D(16年8月加入)もそうです。

 ――BiSHを育てていく上で、常に考えていたことや気をつけていたことはありますか

 渡辺氏:ん~、とにかくがむしゃらにやって、その時その時で考えて動いてましたから…。でもひとつだけ、ずっと言い続けているのは「感謝の気持ちを忘れないようにしようね」ということです。僕も彼女たちも、スタッフやレコード会社といった周りの人たちがいないと機能しないんです。売れたとしても、それは自分たちだけの力じゃない。これは最初からずっと、今も言い続けています。彼女たちに言いながら、自分にも言い聞かせています。そこだけは忘れちゃいけないと。(次回に続く)

★わたなべ・じゅんのすけ=1984年生まれ。東京都出身。早稲田大学卒。デートピア、つばさレコーズを経て2014年8月に株式会社WACK設立。代表取締役に就任。つばさレコーズ時代にBiSを立ち上げ、マネジャー兼プロデューサーとして数々の伝説的プロモーションを行う。14年7月に第1期BiSは解散。15年1月に「BiSをもう一度始める」とBiSHを始動した。