コロナ禍でも売り上げダウン率が低かったエロ本を見直そう

2020年05月22日 14時00分

芳賀書店の店内

【今、エロ本を見直そう(1)】コロナ禍で在宅率が高まっている昨今、意外な“底力”を見せているのが「エロ本」だ。今やスマホでもエロ動画が見られる時代。出版不況、雑誌離れと言われ、さらに昨年8月31日をもってコンビニから成年向け雑誌コーナーが撤去された。エロ本は衰退の一途をたどっていたハズだが、ここにきて若年層にも注目されているという。その理由は一体?「今、エロ本を見直そう」をテーマに、業界の現状をお伝えしよう。

 女体がなまめかしく動き、アエギ声や息遣いが聞ける――。抜くなら、やはりAVなどの動画が断トツだろう。外出自粛で在宅時間が長くなり、風俗にも行けないとなればなおさら…と思いきや、某電子書籍の文芸、総合雑誌のランキングでエロ色を強く押し出した週刊誌が上位を独占したのだ。

 AV特集や、芸能人が過去に濡れ場を演じた映画を特集した企画などが読者のハートと股間をつかんだようだが、実はこれ、週刊誌だけの話ではなかった。

「(コロナ禍で)DVDの売り上げはガタ落ちしたんですが、エロ本は“落ち率”が低かったですよ」と語るのは、“エロの総合書店”と言われる「芳賀書店」(東京・神保町)の3代目・芳賀英紀専務。ちなみに、ここでいう「エロ本」の定義は、AVメーカーが出版する販促系の雑誌ではなく、オリジナルで撮影した写真や企画が盛り込まれたものや、読者投稿などの“交流型”雑誌のことだ。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響から同店でも客は減り、緊急事態宣言の発令でさらに減少。毎月200冊ほどあったエロ本の売り上げも120冊に落ち込んだという。しかし、アダルトDVDの売り上げが7割減という中で4割減にとどまっているところに「エロ本の持つ底力、まだ地力があることが証明されたと思いますね」と手応えすら感じている。

 その理由を芳賀氏は「外出自粛の影響で時間の余白がたくさんあることに尽きるのでは」と分析し、このように続けた。「DVDや動画は“抜きどころ”がメインだから大部分のシーンが飛ばされるし短時間で終わってしまうけど、エロ本は数ページの広告以外は写真と読み物。あり余る時間を使ってじっくり読めますし、そこで新たな“気づき”が生まれることもある。2度、3度と読み返すうちに捉え方も変わってきますからね」

 最近は客層にも変化が起きている。エロ本は「オヤジの読み物」と連想されがちだが、これまで本のコーナーに寄りつかなかった若年層の姿を目にするようになったという。

 売れ筋も独特。意外なのはハウツー系やマニュアル系が人気という点だ。「自分でできる緊縛術や、女性が感じるマッサージとかですね。例えば緊縛は、動画だと縛り方の詳しい説明がなく、すでに縛られた状態で映っているものも多い。どうやったらあれができるのか、を知りたくて買っているようですね」(芳賀氏)

 スマホをいじれば簡単に女性の裸やカラミが拝めるが、こんなときだからこそ自宅でじっくりエロ本を読み、眺めながら抜いてみるのも一興だ。

【厳しい環境】エロ本をめぐる環境は厳しい。出版不況に加え、コンビニでの成人誌販売禁止の影響で、売り上げは激減。芳賀氏によれば「コンビニに(エロ本が)置けたときは10万部売れたら大ヒットと言われていたけど、今は3万部も売れたらヒット。これをコンスタントに出し続ける地力がないと厳しい」という。

 出版社の数もかなり減った。エロ本がメインの出版社は大小100社ほどあったそうだが、「残った出版社は20社ほどだと思います」。業界内では、延期された東京五輪の開催が近づけばさらなる締め付けも予想されると戦々恐々だという。

 エロ本が再認識される予感を感じる一方で、こんな思いも。「じっくり読み込む時間がある分、作り手に『魂』があるかどうかもバレやすくなる。ポリシーを持った『性格のあるエロ本』が作られることを期待したいですね」(芳賀氏)。エロ本カルチャーの行方やいかに――。