【マーティ&URA―KiSS 昭和・平成ソングって素敵じゃん】昭和生まれのアラフォー~アラ還が懐かしむ日本の歌手や楽曲を、平成生まれ世代や外国生まれのミュージシャンはどう聴くのか? マーティ・フリードマンとアイドルユーチューバー「URA―KiSS」の鷹野日南(19)編の最終回。今週もスピッツを語ります。曲を聴きながら読んでみてください。

【スピッツ論2】

 ――次の曲の前に、メンバーが好きなメタルバンド、ジューダス・プリーストの曲を聴いてみましょうか。「ペインキラー」(1990年)です

 マーティ:スピッツっぽくないからびっくりするかも。

 鷹野:初めて聴きました。すごい! ライブで生で聴きたいです。詳しくないけど、こういう激しい曲、大好きです。

 ――メタルゴッドにまさかの好反応! ジューダス、まだいけますね。では鷹野さんが好きな「チェリー」(96年)を聴いてみましょう。マーティさん、いかがですか

 マーティ:このサビはすごくいいですね。タイムレスだよ。今のチャートに入ってても不自然じゃないです。

 ――ボーカルはどうでしょう

 マーティ:基本的に男性ボーカルは好きじゃないけど、さわやかで聴きやすいです。すてきな声の持ち主ですね。

 鷹野:男性の歌は低くて太い声をよく聴いていたので、最初はびっくりしました。聴きやすいし、一緒に歌いやすいし、乗れる感じが好きです。

 ――この曲もいいですよ。「空も飛べるはず」(94年)です

 マーティ:この曲もタイムレスですね。サビの印象が強いし、全体的に覚えやすいです。もうひとつのポイントは、歌唱力をアピールするための曲じゃなく、メロディーをしっかり聴かせます。

 鷹野:私も好きです。歌いやすいというか…。

 マーティ:そう、ボーカルが演奏から外れないじゃん。だからカラオケで歌いやすいんです。これ邦楽の共通ポイントなんだけど、ボーカルが全然アドリブを入れないし、タイミングもしっかり演奏に合わせます。向こう(英米)だと、例えばアデルさんみたいに、メロディーを守るより、ボーカルの歌唱力をみせることがメインです。即興を入れながら上手に遊んだりするのがチャームポイントになるんですよ。

 ――それはカラオケで入れたら“事故”になるやつ…。日本でカラオケが生まれ定着したのも、日本ならではの音楽性が理由なんでしょうね。続いて鷹野さんが好きな「春の歌」(2005年)です

 マーティ:イントロはまたちょっとザ・キュアーっぽいです。全体的に前向きでさわやかなイメージだから、こういう音が嫌いな人は少ないですね。そうそう、スピッツのこと「大嫌い」な人、いないじゃん。好きな人か、聴かない人。聴かない人も「嫌い」とは言わないです。この音が大嫌いと言う人、ヘンだよね。

 鷹野:確かに、大嫌いになる部分を思いつかないです。

 ――万人に嫌われないバンドですね

 マーティ:メタルとパンクは大嫌いになりやすいんですよ。大好きか大嫌いか両極端。嫌われても情熱的な意見を持ってくれるのが僕にはうれしいんですが、スピッツみたいに嫌いな人がいないって、おいしいです。

 ――名曲も多いですね

 マーティ:こういうシンプルで誰でも楽しく歌えるし、歌いたくなる曲を作るのって、びっくりするほど難しいんですよ。派手に聞こえる曲の方が簡単だったりします。曲のタイプは似てるけど、どれもヒット曲感が出ていて、サビだけでなくAメロなどもメロディーが強い。だからサビまでの旅がつまらなくないです。よくサビだけの曲あるじゃん(笑い)。60年代フォークの風味も少し入った、日本を代表するソフトロックバンドですね。

☆マーティ・フリードマン=米国・ワシントンDC出身のギタリスト。1990年から2000年までメガデスに在籍。04年から拠点を日本に移し幅広いジャンルで活躍。【URA―KiSS】渋谷を中心に活動する平均年齢19歳の7人組。通称うらきす。「うらきすハウス」で共同生活を行い、毎日動画投稿中。アイドルとの二刀流が話題を呼び「2018年Yahoo!検索大賞新人賞」受賞。