年内で活動を休止するジャニーズの人気グループ・嵐が15日に突然、東京・国立競技場でのコンサート「アラフェス 2020」を無観客での配信公演として開催すると発表した。開催日時は追って告知するという。同公演は周知のとおり、新型コロナウイルスの影響で延期になっていたもの。嵐にとって事実上ラスト・フェスになるにもかかわらず、無観客公演を強行する裏側には、事務所だけでは〝手に負えない〟複雑な事情があった――。

「アラフェス」は当初、5月15、16日に開催予定だったが、感染が拡大したコロナの影響で4月に延期が決定したのは、本紙でも既報したとおり。活動休止ギリギリの年内開催を目指していたが、有観客での公演を断念した格好だ。

 新型コロナもこのところ、やや落ち着きを見せ経済が回り始めた。当然、有観客での開催も検討されていたというが、やはり断念した。

 ある音楽関係者は「仮に会場キャパ(6万人)の半数の観客を入れるとしても、問題は会場内だけではないんです。〝音漏れ〟を求めて会場外に多くのファンが詰めかける事態も想定されます。そこでクラスターでも発生しようものなら、それこそ嵐に傷がついてしまいます。やむなく無観客になったということでしょう」。

 配信用のライブなら音量も落ちることから、音漏れを期待するファンが殺到することはないだろう。こうした見込みによる判断だとみられる。

 それならいっそのこと、東京五輪同様に〝活動休止自体を延期〟してしまえば、観客を入れたフェスができるかもしれないとの考え方もあったはず。ところが、そうはいかない〝複雑な裏事情〟があるようだ。

「活動休止を含め、もはや嵐の様々な活動について、ジャニーズ事務所だけで判断できるレベルではなくなっている」と声を潜めるのは、ある芸能プロの幹部。天下のジャニーズ事務所が「判断できない」とは、どういうことなのか?

 実は、無観客フェスが発表されたこの日、もう一つの大規模プロジェクトがスタートした。嵐のメンバーがCM出演している日立、JCB、ライオンなど大手企業13社による「HELLO NEW DREAM. PROJECT」だ。テーマは「夢だけ持ったっていいでしょ?」。夢のきっかけづくりとなるコンテンツを展開していくというもの。

「この大型プロジェクトは、CMキャラになった嵐の活動休止を盛大に見送ろうと大企業が集まったんです。原因が新型コロナだからって、ジャニーズとしても日本を代表する大企業13社に向かって『嵐はもう少し続けたいので…』なんて言えるわけがない。もはや嵐の活動休止そのものが、大プロジェクトになっている」と前出の芸能プロ幹部。

 いかにジャニーズ帝国といえども、相手が13の大企業では〝わがまま〟が言えるような単純な状況ではない。とにもかくにも、嵐に公演をやらせて、区切りをつけるしか道はないということ。開催日時は未定の「アラフェス」だが、いったいどんなステージを見せてくれるのか。