【緊急連載「J帝国 崩壊前夜」最終回】“カリスマ”ジャニー喜多川社長が亡くなったことにより、芸能界に大きな地殻変動が起きそうだ。今まで男性アイドルグループといえば、ジャニーズの“一社独占”状態に近かったが、多くの“競合他社”が生まれてもおかしくない状況になっている。ジャニーズは守る立場になったにもかかわらず、所属グループはいまいちパッとしない。そこで2020年末での活動休止を発表している嵐を、早ければ1年で復活させ「最後の切り札にするのでは」との声が飛び出している。

 リーダーの大野智が「自分の嵐としての活動を終え、自由な生活をしたい」という気持ちを明かし、話し合いの末に活動休止を発表したのは今年1月27日のことだった。

 ある芸能プロ幹部は「その時はジャニーさんが亡くなるなんて、誰も思ってませんからね。さすがに、この期に及んでですが、事務所の内部からも『活動休止の発表は時期尚早だったんじゃないか』という声が漏れ伝わってきている。さすがに、大々的にコンサートを展開している以上、休止の延期は無理としても、早期復活は十分あり得るという雰囲気です」。

 ジャニーズには嵐のほか、「関ジャニ∞」や「NEWS」、売り出し中の「King&Prince」など数多くの有名かつ人気グループが在籍している。ただ嵐人気は、他のグループと比較してもスバ抜けている。それはファンクラブの会員数を見ても歴然。嵐が約280万人の会員数で、その次に来る関ジャニ∞でさえ約65万人だ。

 テレビ局関係者は「“ポスト嵐”と言われている関ジャニだって、錦戸亮の脱退報道が出ているようにグループとしての展開は不透明ですし、人気急上昇のKing&Princeといっても、まだデビュー2年目。まだまだポスト嵐には程遠い位置です」と現状を語る。

 また芸能プロ幹部も「NEWSは昨年の未成年飲酒騒動のせいでパッとしない。Hey!Say!JUMPもファンのマナー問題でコンサートツアーが中止になるなど、勢いがない」

 一方で関連会社ジャニーズアイランドの社長・滝沢秀明氏はジュニアの育成を担当し、必死に底上げを図っている。精力的にテレビ局を回って太いパイプを築き上げつつあり、キャスティングにも徐々に影響力を持つようになっている。その結果としてジュニアの「SixTONES」や「Snow Man」の露出、人気も上昇しているが、国民的アイドルの金看板を背負うにはまだまだ先は長い。

 ジャニーズ所属のグループが軒並み苦境に立たされているところ、“外的要因”によりますますピンチに陥っている。「希代のプロデューサー、ジャニーさんが亡くなったことで、ほかの芸能プロダクションも男性アイドルグループを積極的に売り出していくことは確実だ。長年続いたジャニーズによる事実上の一社独占体制が崩れそうだ」と芸能プロ関係者。

 さらにジャニーズ事務所が元SMAPの稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の3人を出演させないよう民放テレビ局に圧力をかけていた疑いがあるとして、公正取引委員会が注意していたことも明らかになった。「テレビ局も今までのようにジャニーズばかりを出演させることが難しくなった。ほかの男性グループも出さないと、また何を言われるか分からない」と別のテレビ局関係者。

 嵐の後を継ぐグループは現れず、外では逆風が吹き荒れている。そこでジャニーズの“牙城”を守るべく、人気・知名度とも一歩も二歩も抜けている嵐を早々と復活させる、という話が持ち上がっているのだ。前出幹部は「ポスト嵐が育っておらず、ジャニーズとしては非常に苦しい。嵐は早ければ1年ぐらいで復活する可能性は十分あるでしょう」と分析する。

 櫻井翔は1月にキャスターを務める「news zero」(日本テレビ系)で嵐の復活を聞かれ「あります」と明言。「いつかまた5人がそろってパフォーマンスというのを頭の隅に置きながら、それぞれが活動していくことになると思います」としている。

 足元が揺らいでいるジャニーズ事務所の最後の“防波堤”はやはり嵐しかいない。(終わり)