過去の栄光からの落差が薬物を吸い寄せたのか? 関東信越厚生局麻薬取締部(通称・マトリ)は22日、大麻取締法違反(所持)の疑いで、人気アイドルグループ「KAT-TUN(カトゥーン)」の元メンバーで歌手の田口淳之介容疑者(33)と、“内縁の妻”で女優の小嶺麗奈容疑者(38)を現行犯逮捕した。2016年に「自分の道を選択する!」と大ミエを切って事務所を退所してから3年。薬物逮捕という転落ぶりには、ジャニーズ特有の原因があるという。それが“ジャニーズ後遺症”だ――。

 2人の逮捕容疑は、共謀して同日午後1時45分ごろ、乾燥大麻数グラムを所持していた疑い。マトリは同居の自宅から乾燥大麻数グラムと、大麻を砕くための「グラインダー」と呼ばれる器具や巻き紙など、吸引用とみられる証拠品を押収した。

 捜査関係者によれば、「押収した巻き紙は数枚ではなく数十枚。常習性が強く疑われる。大麻は隠されていたわけではなく、2人の共有スペースに堂々と置いてあった。住まいというより“大麻部屋”という感じです」。一部報道では、田口容疑者は「大麻は2人の物です」などと容疑を認める供述をしているという。一方、小嶺容疑者は「大麻は私1人の物です」と、田口容疑者とは食い違う供述をしているそうだ。

 この日夕、2人は東京・千代田区の麻薬取締部から警視庁東京湾岸署へ移送された。

 まず出てきた田口容疑者は、車の後部座席に座り、黒縁のメガネをかけて真正面を見据えた。続いて出てきた小嶺容疑者も顔を伏せることはなし。2人は24日にも送検される。

 田口容疑者は1999年、ジャニーズ事務所に入所。2002年に結成され、06年にCDデビューした「KAT―TUN」の一員としてブレーク。16年3月に同グループを脱退し、事務所を退所。その後に個人事務所を立ち上げ、ソロ活動を展開していた。

 翌年には大手レコード会社ユニバーサルミュージックと契約を結んだものの、昨年末で契約は終了。7月5日から全国17か所21公演のツアーを開催する予定だったが、中止は決定的で損害額は1億円は下らないものと思われる。華々しく芸能界デビューした田口容疑者の転落ぶりは、驚くべきことではないという。元ジャニーズや元Jr.の知人を多く持つ犯罪研究家の野島茂朗氏は、その一因には「ジャニーズ後遺症がある」という。

「ジャニーズ時代の栄光と辞めた後の現実のギャップに苦しみ、精神的に不安定になって暴行したり、薬物やアルコールに溺れ、事件を起こす元ジャニーズタレントは多い。それがジャニーズ後遺症なんです」

 確かに、元フォーリーブスの江木俊夫や故北公次さん、元光GENJIの赤坂晃は覚醒剤で逮捕され(赤坂の最初の逮捕はジャニーズ在籍時)、元男闘呼組の成田昭次、近年では元KAT―TUNの田中聖が17年に大麻で逮捕された(田中は不起訴)。元Jr.を入れれば窃盗、詐欺、暴行など逮捕者は枚挙にいとまがない。

 実は、昨年の段階で田口容疑者のジャニーズ後遺症を心配し、ニュースサイトにコメントを出していた野島氏はこう指摘する。

「ジャニーズは、Jr.時代から歌番組に出演する人気グループのバックで踊らせて、売り出す手法をとってきた。初めてステージに立った時に数万人の大観衆がいるのが当たり前。特にKAT―TUNはデビュー前に東京ドームで単独ライブをしたほど。事務所の力で、そんな光の当たる場所を歩んできた田口容疑者が、退所後に苦労するのは目に見えている。私が心配していたことは現実になりましたね」

 事実、ある芸能関係者によると「ユニバーサル時代はシングル1枚、アルバム1枚を出しただけで、売り上げも数千枚程度でしたが、ラジオのレギュラーやデジタル写真集の出版、さらにファン向けイベントを開催して普通に生活できるレベルの収入はあったそうです。ただ、当然のことながらジャニーズ時代に比べれば収入は激減していた」と明かす。

 田口容疑者が「ジャニーズ後遺症」になって大麻に手を出したのなら、あまりにも悲しい結末だと言わざるを得ない――。