【J帝国に吹き荒れる嵐の深層・緊急連載5】2020年大みそかをもって活動を休止するジャニーズの看板グループ「嵐」を巡って今、テレビ界がすさまじいことになっている。終了が決定しているとはいえ、嵐の冠番組を放送している日本テレビとフジテレビがまさに“仁義なき戦い”に突入しているのだ。狙いは「ラスト公演」のドキュメント映像。視聴率3冠王の日テレがメンツにかけて取りにいけば、ジャニーズ事務所と長い蜜月関係の歴史があるフジも黙っていない。安室奈美恵さん以上といわれる“引退ビジネス”を手中に収めるのはどっちだ!?

 嵐が活動休止を発表してから、各テレビ局の動きは早い。もともと2020年までやるといわれたNHKの紅白歌合戦では、すでに同年の大みそかに5人の司会で“最後のとき”を迎えることが内定したと一部で報道されている。NHKだけでなく「カウントダウンに入った嵐の“最後の姿”をどう演出するか?」というのが、現在、テレビ局で話し合われている最大のテーマだ。

 ある制作会社関係者は「いまの嵐は5人の番組だけでなく、メンバーが個々に出演しているものを含めれば、各キー局ともにレギュラーを持っています。少なくともフジテレビの『VS嵐』、日本テレビの『嵐にしやがれ』の2つ番組は終わります。現段階では、民放ではフジの『VS嵐』が特大のスペシャル番組を放送するのが最後というのが既定路線になっているようです。ただ、各局ともに2020年の年末には特番を作りにかかるでしょうし、その争奪戦もこれからでしょう」。

 それだけではない。最後のときだからこそ、最大の注目が集まる。となればこのときこそがビッグビジネスのチャンスにもなる。

「安室さんが引退を発表したのが1年前だった。発表してからの1年間でベスト盤CD、コンサートDVDのビッグセールスにつなげた。コンサートチケットなども含めて一説には200億円稼いだとも言われている。嵐の場合はトータル金額は10倍は堅いとも言われています。そもそもCDもDVDもジャニーズのレーベルで出ているものですから、テレビ局が手の出しようがないところですが、各局が狙っているのがコンサートの密着番組です」(あるテレビ局関係者)

 安室さんのステージ密着番組は、動画配信サービスのHuluが独占で作った。

「そのときに会員数を急増させるビッグビジネスにつなげたというのは有名な話。この“うまみ”はテレビ界では知らない者がいないほど。だからもう一度、嵐で安室さんのときのように最後のコンサートに密着した“引退ビジネス”を再現しようともくろんでいるんです」と同関係者。

 各局とも形態は異なるが、何らかの形で動画配信サービスの会社とつながっている。ファンクラブ会員が250万人を超える嵐だからこそ、独占できれば安室さん以上のビッグビジネスになる。安室さんの10倍が見込めるのであれば、2000億円ビジネスも夢ではなく、その中でも最大の目玉となりそうなコンサート動画の配信をテレビ各局が狙うのは当たり前だ。そして、手が届きそうなのが日テレとフジだという。

「つながりの深さから考えれば5人のレギュラー番組を持っている日テレかフジが1歩も2歩もリードしている。有利なのはフジかも。ジャニーズとの蜜月関係は昔のまま、いやそれ以上でしょう。SMAP騒動を乗り越えて、なおかつジャニーズに食い込み続けているスタッフがいるので、関係性はより強固になっている」とは、前出のテレビ局関係者だ。

 だが、日テレだって負けてはいないと別の関係者が解説する。

「まだまだ大人気とは言えないころの櫻井翔を『news zero』のキャスターに起用したように、嵐の売り出しには大きく貢献してきた。嵐という国民的グループに限定して言うと、その関係はフジよりも深い局といえる」

 ジャニーズに強いフジか、嵐をフォローし続けてきた日テレか? 両局が火花を散らし、水面下であらゆる手を使って「コンサート動画」の独占を狙って一大バトルを繰り広げている。

「どちらになるか、それは見ものです」と制作会社の関係者は固唾をのんで見守っている。