ハロー!プロジェクトのアイドルグループ「℃―ute」(リーダー・矢島舞美=25、中島早貴=23、鈴木愛理=23、岡井千聖=22、萩原舞=21)が12日、埼玉県のさいたまスーパーアリーナで解散コンサート「℃―ute ラストコンサート~Thank you team ℃―ute~」を行い、それぞれ最高の笑顔を見せた。だが、この日の舞台に上がるまでの道は険しかった。なかでも5人編成になった直後に直面した深刻な“解散危機”は、ファンにもあまり知られていない。

 最後に目指した舞台、さいたまスーパーアリーナは、かつて5人が1stインディーズシングル曲「まっさらブルージーンズ」を「モーニング娘。」の前座としてパフォーマンスした“スタート地点”だった。足かけ12年の時を経て、この場所に「メーン」として戻ってきた。

 オープニングは「The Curtain Rises」。5人になって初めてのシングル曲「SHOCK!」を披露した際には、鈴木は「いろいろあった曲。歌いきらなきゃって!」と思いを明かしたが、実はこの曲が、グループの「解散危機」を招いていた。

 それまで5人全員で歌っていたが、この曲では鈴木がセンター、ほかの4人が「バックダンサー」という立ち位置に。この編成により“大きな亀裂”が生じた。

 この時期は本当に5人はバラバラだった。岡井は「正直、愛理1人でやればいいのにという気持ちにまでなった」。

 また中島は「私は一歩引いておかなければいけないと思っていた。人間関係が一番つらかった時期だったです」。矢島も「愛理はそれだけの実力があったから納得していました。でも、メンバーの気持ちをリーダーとして事務所に伝えなければいけない。それがつらかった」と明かす。

 萩原にいたっては当時のマネジャーに「辞める」とまで伝えていた。ただ「萩原が辞めたらグループは解散があるよ」と言われ、考え直した。「『℃―uteがなくなるのだけは嫌だ』と思い、辞めるのをやめたんです」(萩原)

 一方、鈴木にもプレッシャーがあった。

「グループがバラバラになって、あの時初めて歌うのが嫌いになりそうだった」という。事務所と話し合ったが、当時のスタッフに「鈴木がダメだからグループが輝かない」と言われていたとも。

 こんな解散危機をどうやって乗り越えたのか。

 それは、5人の「大きな舞台に立ちたい」という同じ夢。それが確認できたときから5人は一致団結した。

 勢いが出始め武道館を皮切りに、横浜アリーナ、そして最後の夢、さいたまスーパーアリーナにたどり着いた。

 ℃―uteとして最後に選んだ曲は「JUMP」。最高の笑顔で会場を飛び回った。さいたまスーパーアリーナは5人が最後まで諦めずにアイドル人生を頑張り抜いた証しとなった。