ヤマカン直撃 新作は「今の思いが全部詰まった“遺言”みたいな作品」

2014年01月09日 17時11分

今作を通して過去のアニメファンにあった気持ちを取り戻してほしいという山本監督 (C) Green Leaves/Wake Up, Girls!製作委員会

WUG!では臆することなくアイドルの弱さ、汚さも描く

 ──今回はオリジナル作品です。どういったアイドルの研究をされましたか

 

 山本:古くはキャンディーズからAKB48、ももいろクローバーZまで徹底的に調べました。特にAKB関連の本は多いので、AKBと秋元康さん周辺の著書、記事は徹底的に読みました。もちろんライブにも通いました。

 

 東北が舞台なので仙台のご当地アイドル「ドロシーリトルハッピー」も取材しています。TOKYO IDOL FESTIVALの東北特集のステージも見ていましたが、東北から追っかけているファンがいて、アイドルとファンとの関係の強固さを感じました。好きなものにはとことん肩入れするアイドルファンの心意気。一方、アニメファンは流行り廃りでぱーっと離れて行っちゃいますから、ちょっとはアイドルファンを見習えと。昔はアニメファンにもあったんですよ。でもその風潮が薄れている。そこに疑問を持っていたところもあったので、もう一度そういう思いをアニメファンにも思い出してほしいという趣旨もこの作品にはあります。

 

 ──監督といえばアイドル好きですがファンだからこだわった部分はありますか

 

 山本:人間味は出したい。シナリオ会議で「アイドルの汚い部分はファンは見ないよ」という声もあったんですけど、僕はそこが見たい。やっぱり指原莉乃も好きですし、峯岸みなみも好きなんですよ。ああいうスキャンダルを起こした、汚れたとファンから思われた後もアイドルをやりぬくところが僕は好きなんです。アイドルには汚さ、弱さも受け入れて希望を持つという部分がある。WUG!では奇をてらわず自然に、必然的に過ちを犯したり、失敗したりという部分はあっていいと思う。その全てを包括してドラマとしての強度があればいい。

 

 ──とはいえアニメファンには汚い部分を嫌う傾向があります

 

 山本:僕はそろそろファンが綺麗なものばかりに飽きていると思うんですよ。時代が変わり、一世代違ってきている。そういうにおいを感じ取っているんです。昔は二次元と三次元の壁というのがあって、相容れなかった。今はアニメとしてもアイドルアニメがブームになっている。もちろん皆さんまだ手探りの状態でアニメでアイドルを提示していてその事情は理解できるんですけど、やっぱりだんだんと熱、体温というものをアニメも欲しがっている。だから臆することはないと思っています。

 

 ──最近のアイドルについてはどう見ていますか

 

 山本:AKBとももクロは目標を達成しちゃったので、どうしても蛇足感がありますね。今はHKT48や乃木坂46が伸びていますよね。やっぱりアイドルは成長の物語。伸びていく姿が美しいので、伸び切っては難しい。モーニング娘。も伸び切っている感がある。スキャンダラスなものを削ぎ落として削ぎ落として今の綺麗な状態に持ってはきたんですが。人を入れ替えて、パフォーマンスを鍛えて、髪も黒くして、ストイックに客ウケしやすいようにしているのですが、人間くさい要素がちょっと足りない。もっと開放的にやったほうがいい。それこそ加護亜依、矢口真里くらいの踏み外すような勢いがかつてのモー娘。にはありました。やっぱりアイドルも綺麗なだけじゃだめ。峯岸がのし上がったり、指原が総選挙で1位になったり。女性に対するオタク層の見方が変わってきている手ごたえがあります。だからあまりラジカルに捕らえるつもりはないけど、WUG!のメンバーにもっとはじけろとは言っています。

 

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