ヤマカン直撃 新作は「今の思いが全部詰まった“遺言”みたいな作品」

2014年01月09日 17時11分

山本寛監督

 

 アニメ界で常に注目を集める“ヤマカン”こと山本寛監督(39)の最新作「Wake Up, Girls!」(WUG!)が1月10日にテレビ放送(テレビ東京系)、劇場版と同時にスタートする。宮城・仙台を舞台にトップアイドルを目指す少女たち7人を描く群像劇は主要キャスト7人に新人声優を起用。実際に声優たちがアイドルとしてライブ活動を行うことでも話題だ。愛用のノートパソコンに貼られていたのは震災復興応援と「ももいろクローバーZ」玉井詩織の2つのシール。東北とアイドル。その思いがいかにして結びつき、「遺言」とまで語る作品へとつながったのか聞いた。

 

 

震災きっかけに東北、この国のために何かしようという思いが湧き上がった

 

──まずWUG!の制作の経緯について教えていただけますか

 

 

 山本寛監督(以下山本):まずは東日本大震災ですね。震災で創作の意欲が湧いたというと不謹慎かもしれないですけれど、東北のため、この国のため、この社会のために何かしようという思いが急に湧き上がったんです。そこで脚本の待田堂子さんを誘って、何か作ろうと企画を練り始めました。

 

 最初の企画は今とは全然違っていたんですけど、何か東北を元気にできる企画をと考えている中でふと思ったのがアイドルでした。アニメで地域活性という発想の中、聖地巡礼のようなモデルにした土地をただ見て回るのだけではない形がいい。だったらライブがいいなと思いました。AKB48が被災地で慰問しているところもヒントになっています。東北にAKB的なアイドルを作っちゃえばいい。待田さんにアイドルアニメにしましょうよと提案したのが最初ですね。

 

 ──WUG!に出演するオーディションで選ばれた新人声優7人は実際にアイドルとしてライブ活動も行います。このコンセプトは最初から決まっていたんですか

 

 山本:僕自身もアイドルファンですが、ファンは応援するアイドルが無名からブレイクするまでの物語を見たいものです。だからファンは古参にこだわるんです。今回いろいろリスクがあるけれど、声をあてる連中もゼロから始めるのがいいだろうと思いました。しかもその子たちがアイドルとしてライブをする。フィクションも現実もゼロから羽ばたいていくアニメを作れれば楽しいかなって。

 

 ──WUG!の7人の選考基準は

 

 山本:総合力です。声をあてる作業に対する巷の目はすごく厳しいので、芝居ができなければ意味がない。もちろんルックスもよくないとアイドルはできない。だから何もかも備えた総合力で判断しました。本当は僕好みの通したい子が何人かいて最終審査までは残したんですけど、芝居ができないから最終的に弾きました。ヤマカン好みのタイプを入れたんだろうと言われるんですけど、無理だったんですよ。

 

  エイベックス、81プロデュースの大手2社がいるからできているんですが、私の作業量も倍とはいいませんけど、相当膨れ上がっているので忙しいですね。7人の人生を預かるから失敗ができない。一般的なアニメ作品なら監督が泥をかぶって終わりなんですけれど、7人の子が一緒に巻き込まれるので恐ろしい。アイドルをプロデュースするのは確かに憧れだったけど、今は充実感というより責任感の重圧のほうが大きいですね。

 

 

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