吉澤ひとみ「酒」高橋祐也「クスリ」依存の深層 専門医が再生方法指摘

2018年09月13日 16時30分

逮捕された吉澤容疑者

 道交法違反などの疑いで「モーニング娘。」元メンバーの吉澤ひとみ容疑者(33)が逮捕された事件で、警視庁が東京都内の自宅を家宅捜索し、事件前の飲酒時に使っていたとみられるグラスなどを押収したことが12日、分かった。警視庁は日常の飲酒状況や事件直前の酒量を慎重に調べる方針。また、女優・三田佳子(76)の次男の高橋祐也容疑者(38)が11日に覚醒剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕されるなど、芸能人の違法薬物やアルコールに関する逮捕が続いている。アルコールも覚醒剤も共通するのは「依存症になる」という点だ。治す方法はあるのか? 専門医に聞いてみた。

 吉澤容疑者は6日朝から仕事が入っていたにもかかわらず、供述によると6日午前0時ごろまで飲酒した。仕事に遅刻しそうになり、酒気帯び状態で自ら車を運転し、現場へ急いだ。東京・中野区で、自転車で横断歩道を渡っていた20代の女性をはねて、逃走した疑いで中野署が逮捕。呼気検査では1リットル当たりの基準値0・15ミリグラムの4倍近い0・58ミリグラムのアルコールが検出された。

 一方、高橋容疑者は10日夜、東京・渋谷区の飲食店でトラブルを起こし、駆けつけた渋谷署員が様子が不審だった同容疑者に尿検査を行ったところ、覚醒剤の陽性反応が出たため、11日朝に逮捕された。

「いい子をやめれば幸せになれる」の著者である、精神科医の山下悠毅氏はこう語る。

「芸能人が薬物で何度も逮捕されたり、飲酒運転をして捕まると世の中の多くの方が『意志が弱い』『ダメな人間だ』などと叩くのですが、これは全くの誤解なのです。なぜなら、薬物依存症やアルコール依存症は精神疾患であり、『違法と知りながらも使ってしまう』『飲んではいけない時間や場所でも飲んでしまう』といった行動は、ぜんそくの方が意志の力では咳を止められないといったものと同じで、病気による症状だからです」

 吉澤容疑者が依存症かどうかは不明だが、かなりの酒豪であることは本紙で既報。高橋容疑者は2007年以来11年ぶり4回目の覚醒剤逮捕だ。その期間は実に20年にわたる。

 では、なぜ覚醒剤でもアルコールでも、依存症になってしまう人がいるのか。

 山下氏は「薬物やアルコールを“心の痛み止め”として、使い続けてしまったからなのです。これは極論ですが、薬物やアルコールの依存症は、大量に長期間用いれば、誰でもなります。しかし、多くの方は薬物やアルコールよりも、大切な仲間と過ごしたり、趣味などに取り組んだりすることの方が楽しいため、大量に使い続ける理由も、必要もないのです。しかし、『真面目』『頑張り屋さん』といった、いわゆる『いい子』と呼ばれるような方は、苦しい場面で人に相談することができず、1人で問題を抱え込んでしまうため、薬物やアルコールでしか自分の心を癒やすことができず、気がつくとその使用量が増え、いつしか依存症へと進んでしまうのです」と話す。

 治療はどうすればよいのだろうか。大きく分けて2つあるという。1つは「手に入れられない」「使うことができない」といった仕組みや環境を構築すること。

「残念ながら依存症になったなら完全な治癒は不可能です。しかし、手に入らない環境であれば、そうした方も『やりたい』とも『使いたい』とも、思わないわけです。ですので、薬物であれば、過去の交友関係を全て断ち切り、仕事も夜の仕事であれば入手できにくい可能性がある昼の仕事に変える。ネットで購入していた方なら、ガラケーにしたり、自宅のネットを解約する。それが治療となるのです。治癒は不可能ながらも人生を再構築することは十分可能なのです」(山下氏)

 2つ目は依存症になってしまった原因に対するアプローチだという。

「ストレスがたまった時は薬物やアルコールではなく誰かに相談をするといったライフスタイルの再構築を専門機関でのミーティングなどを通して行います。依存症治療の世界には古くからある名言があり、『アディクション(物質への依存)の反対語はコネクション(人とのつながり)』なのです」(同)

 依存症という病気が背景にあるとしても、犯した罪は罪。社会的な責任は取らなければならない。山下氏は「しかし、その後は、しっかりと患者さんはもちろんのこと、周囲の方も理解され専門機関での治療が、再発や再使用を防ぐ唯一の方法だと言えるのです」と指摘している。