【加護亜依の笑うカゴには福来る!?:連載7】「アイドルじゃない」――。タレントの加護亜依(30)は「モーニング娘。」在籍時、グループのプロデューサーだったつんく♂(49)から数々の金言を授かった。そのおかげで悩んでいたコンプレックスも克服。“恩師”の教えは、グループを卒業して2児の母となった今でも支えになっている。

 つんく♂さんには学んだことがいっぱいあります。

 私がモーニングに加入して初リリースとなったシングル「ハッピーサマーウェディング」(2000年)のCDジャケット撮影でのこと。チューブトップの衣装を着なければならなかったのですが、イヤでイヤで泣いちゃいました。

 記憶がない1~2歳のころ、奈良の自宅で母がコーヒーを飲もうとお湯を沸かそうとしたところ、私はやかんに手を伸ばし、顔と右肩から腕にかけて熱湯を浴びてしまったそうです。顔は皮が1枚めくれる事態になりましたが、無事。でも、右肩から腕にかけてやけどの痕が残りました。

 撮影ではそのやけどの痕をさらすことになるため涙が出てしまいましたが、つんく♂さんからこう諭されました。

「モーニング娘。は、アイドルじゃない。アーティストや。たとえ髪が抜けようと、足を失おうと、のどさえあれば歌える。やけどの痕は気にすることちゃうよ。もっともっと大変な人は世の中にいるから」

 このひと言で、やけどの痕は全く気にしなくなりました。

 他にも、「鏡の前で笑う練習をしろ」とか「他のメンバーのファンを自分のファンに引き込むくらい自分を磨いてパフォーマンスしなさい」と教えられました。モーニングは年頃の女の子の集まりでよくおしゃべりしますが、「のどを大事にしなさい」とも忠告されました。

 思い出に残っているのが、「ミニモニ。」のレコーディング中にアップルパイを焼いてつんく♂さん、スタッフさんに持っていったことです。

 完成した12カットのアップルパイを「人生で初めて作りました」と手渡すと(ホントは、当時東京で同居していた祖母がほとんど作りました汗)、つんく♂さんは「おぅ! ありがとう」と喜んでくださいました。

 ほどなくしてできたミニモニ。の楽曲が「ミニ。ストロベリ~パイ」(02年)。シングル「ミニモニ。ひなまつり!」のカップリング曲です。つんく♂さんはいろんなことからヒントを得て作曲しているそうです。

 つんく♂さんは、作詞作曲を手がけられた「ミニモニ。ジャンケンぴょん!」(01年)の歌詞の一節で「自分を信じてゆくのだぴょん!」とか書いていますが(苦笑)、あのフレーズには大人になった今でも「そうだよな」と救われています。

 モーニング以外のタレントさんでは、ラジオ番組で共演させていただいた明石家さんま(62)から収録中、いきなり「加護、お前は“魔性の女”やな」と言われたことが印象に残っています。当時15歳くらい。発言の真意は分かりません。

「魔性」の意味を知らず、東京の自宅に帰宅して祖母に「魔性って何?」と聞くと、「あんたのお母さんみたいなことよ」と冗談ぽく言っていましたけど。
 今、自分の恋愛を振り返ってみると、年を重ねるに連れて“魔性の女”になったかなという気はします(苦笑)。

 次回は、“デブ加護ちゃん”のお話です。

☆かご・あい=1988年2月7日生まれ、奈良県出身。血液型=AB。4人きょうだいの長子。2000年に「モーニング娘。」の4期生として辻希美らとともにデビュー。明るい性格で人気を博し、国民的アイドルとして活躍する。04年、グループを卒業。幾多の騒動や離婚を乗り越えて再婚。現在はタレントや女優、歌手と幅広く活動。家族は一般男性の夫、5歳長女と1歳長男。今月27日に東京・GINZA Lounge ZEROでライブを行う。