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宮本亜門氏を泣かせた植木等さんのプロ根性「こんなに命を削って仕事に打ち込めるのか」


宮本亜門氏

 演出家の宮本亜門氏(59)が15日、東京・銀座で演出家生活30周年記念パーティーを開き、10年前に亡くなった「クレージーキャッツ」の植木等さん(享年80)をしのんだ。

 宮本氏は「長年演出をしていれば、演技にこだわらずにセリフを覚えるだけという役者がいる。でも、もっとよくなるという意思を持って、徹底的にこだわる役者がいる時は、こちらも本当に面白い」と演出家としての醍醐味を表現した。

 中でも印象に残っているのが、植木さんだったという。宮本氏は演出家として駆け出しの1989年「エニシング・ゴーズ」で植木さんと出会った。

「あそこまで徹底的にこだわる人は、面白かった。植木さんは朝の10時から内緒で、違う稽古場を取って個人でトレーナーを付けて2時間柔軟体操などをしたうえで、何事もなかったように稽古場に顔を出していた」という。

 だがこのころ、植木さんは体調を崩していた。宮本氏は「最終稽古の時になると、調子が悪くて『もし倒れたらごめんなさい』という状況だった。そばには私服で医者と看護婦を待機させていて、体力的には限界との見立てにもかかわらず、倒れても絶対に舞台に戻すという態勢だった」と振り返る。

「無理をしないでください」と言葉をかけても「最終の通し稽古をやらせてくれ」の一点張りだったという。体力の限界はとっくに超えていたが「その通しが誰よりも明るくて、僕は泣いちゃった。人ってこんなに命を削って仕事に打ち込めるのかと思った」と、宮本氏は心を動かされた。

 2005年、宮本はオンブロードウェーで上演した「太平洋序曲」で、演劇の最高峰である「トニー賞」4部門ノミネートを果たす。惜しくも受賞は逃したが、宮本氏がここまでの名演出家になったのは、プロ根性の塊だった植木さんとの出会いが影響したのかもしれない。

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