伝説バイク「ホンダCBX400F」盗難続発の実態
大阪府八尾市美園町の近畿自動車道上り線で8日、兵庫県姫路市の男性会社員(22)がオートバイを運転中、乗用車に幅寄せされ停車させられた上、オートバイを奪われる事件があった。高速道路という特殊な状況下で狙われた車種は非常にレアで高価で、盗難続出なのだという。
大阪府警八尾署によると、現場は近畿道上り線八尾料金所手前の21・4キロポスト付近。8日午前2時25分ごろ、男性が後部座席に友人を乗せ、兵庫県姫路市内に帰る途中に同所を走行していたところ、黒色のクラウンが前に割り込むような形で幅寄せし、路肩に停車させられた。助手席から降りてきた男が「降りな、しばくぞ」と脅してオートバイを奪いとると、そのまま乗って車とともに逃走した。会社員と友人にケガはなかった。男は2人組で20代くらいだったという。同署は強盗事件として調べている。
奪われたオートバイは既に生産が終了している「ホンダCBX400F」。1981~83年に生産されたが、市場からの強い要望で84年に再生産も行われた人気モデルで、男性は時価300万円相当と話しているという。バイク販売関係者は「程度にこだわらなければ100万以下でも探せますけど、300万は状態がいいと思います。パーツを交換するにも、(メーカー販売のパーツなど)純正品も廃番になってますので…」と語る。
同車は人気漫画「疾風伝説 特攻の拓」や「湘南純愛組!」の登場キャラクターの愛車にもなっていたため、ご存じの読者も多いかもしれない。生産終了から30年を過ぎた現在でも高い人気を誇り、バイクショップから数台がごっそり盗み出されるなど盗難事件が後を絶たないという。
「昔から暴走族とかに狙われやすい車種でしたよ。僕の友人も2人乗ってたけど、2人ともパクられていた。伝説のバイクと言われるくらいで、年数がたっても価値が落ちるどころか逆に上がっている」(バイク愛好家)
今回は走行中に盗まれるという特異な事件だったためニュースとなったが、報道されないバイク盗はかなり起きているようだ。
「しょっちゅう盗まれてます。持ってるだけで狙われてしまう感じ。乗っているところを見られたら、尾行されて保管場所を特定され、盗まれるという話もあります。盗まれすぎて盗難保険にも入れないんです。今回もそのまま乗って逃走しているし、事前にヘルメットなどを用意した上で、もともと狙いをつけてた可能性もありますよ」(前出関係者)
盗難車の用途はそのまま使用したり、転売あるいは使えそうなパーツの部品取りなど様々のようだ。
大阪府貝塚市のプロショップ「DEEP FIELD」のスタッフは「ホンダCBX400Fは、もう僕らからしたら宝の山みたいなもの。そのままでもパーツでも全部使えますからね。捨てるところのないマグロみたいなもんですよ」と指摘する。
これだけ高価で保険にも入れないとなると、自身でセキュリティー対策を施すしかない。
「いろんなセキュリティーグッズはありますけど、フレームのロックとかでもごっそりそいだりしますしね。車と違ってパーツが小さいのでシビアですよ」(同)と、盗難を防ぐための決定的な対策を講じるのは難しいようだ。
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