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稲垣吾郎 阪本順治監督を感心させた“待ち時間の行動”


稲垣と阪本監督

【インタビュー前編】元SMAPの稲垣吾郎(45)が再スタート後、初主演した映画「半世界」が、15日から全国公開される。妻(池脇千鶴)と反抗期の息子を持つ炭焼き職人・高村紘を演じ、同級生の沖山瑛介(長谷川博己)、岩井光彦(渋川清彦)との友情と人生の葛藤を描く。メガホンを取ったのはデビュー作「どついたるねん」をはじめ多くの受賞作品を持つ阪本順治監督(60)。2018年度東京国際映画祭コンペティション部門観客賞を受賞した今作の裏側について、2人に話を聞いた。

 ――ヒゲ姿の役柄ですね

 稲垣:自前です。解散したぐらいで、すごく時間のあるときにヒゲを伸ばしていたら、意外と新しいねと言ってくれる方がいたんです。

 監督:俺、剃らないでそのままにしておいてって言ったよね(笑い)。

 稲垣:そうなんですよ。面白いというか楽しんでました。

 ――衣装も作業着姿

 監督:本来は映画主演なら新しく仕立てるか、タイアップするのだけど、今回は申し訳ないけど古着か、新品でも何十回も洗濯して、わざとよれよれにしている。

 稲垣:そのこだわりのほうがすごいと思う。

 監督:しかも何度も(炭焼き)窯の灰をつけるから…。

 稲垣:ずっと自分に灰の匂いがついてました。でもその匂いを含め、五感すべてから紘の命が僕に入ってきた。すべてにいざなわれて役というものは作られていくんだということを、これほど実感した作品は初めてです。

 ――監督は役者にホレ込んでこの作品を作った

 監督:それはもう最低限のことです。愛情がないと演出に力が入らない。例えば撮影のとき俳優さんが待っているじゃないですか。その時ずっと見てるんですよ。

 稲垣:あ、そうなんですか。初めて聞きましたよ。

 監督:いまどきだからスマホをいじっている人がいる。で、あのさ、次のシーンなんだけど…と話しかけて上からみたら「待ち時間なう」って(笑い)。たばこを吸いながらやっているのを見ると、別に罰則はないんだけど、話しかけたくなくなる(笑い)。そういうのはキャスティング失敗なんだよ。

 稲垣:僕はブログの更新してましたよ。

 監督:あれは分かってんねん。活動でやっているって。

 稲垣:(うなずきながら)確かに最近増えましたね。待ち時間でみんなこうやって(スマホを操作するしぐさ)電車の中の風景みたいになっていると、話しかけづらくなる。昔の現場にはそういう感じがなかったんです。こう言うと年取った人みたいなコメントになってしまうけど(笑い)。

 監督:ストイックになってくれという話ではないんだけど、どういう待ち方をしているのかというのは、次もう一回この人とやろうとかという重要なポイントなんです。

 ――稲垣さんはどういう待ち方を

 監督:稲垣君は本を読んでましたね。何読んでるの? 谷崎潤一郎? はい、分かりました、って(笑い)。
 
 稲垣:(笑いながら)僕は現場には静かにいるんです。19歳ぐらいのときにすごくベテランの監督さんにそこを褒められたことがあって、それが今でも忘れられない。そんなワイワイするほうじゃないからかもしれないんですが、落ち着いて待っている。その時間がすごく大切なんです。

 監督:なんとなく俺は古いタイプでね。撮影は途切れているけど、本人は持続してその役の中にいてほしいと思う。

 稲垣:でも、すてきな俳優さんはみんなそうだと思います。長谷川さんもそうだったし、キャストのみなさんも。スイッチは切っても主電源は切ってないみたいな。

 監督:あ、その表現いい。面白い言い方しますね。待機状態みたいな、赤いランプが欲しい。

 稲垣:そうなんです。そういう俳優さんが僕も好きですし、監督がおっしゃる感じが分かります。

 監督:4人(稲垣、長谷川、渋川、池脇)の待ち方も当然見ているんだけど、すてきな待ち方してましたよ(笑い)。

 ――キャスティングは大成功

 監督:そうそう。第1希望でした。4人とも仕事をするのは初めてだった。

 稲垣:監督がこっちを見ているなんて気がつかなかった。監督、怖いよね(笑い)。

 監督:あと俺ね、地獄耳なのよ(笑い)。

 稲垣:ええっ! でもそういうの初めて聞けた。面白いな(笑い)。

※後編に続く

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