平成28年度文化勲章の受章者が28日発表され、作曲家の船村徹氏(84)が喜びを語った。

 作曲家の受章は1956年の山田耕筰氏以来2人目。歌謡曲の作曲家として、長年にわたり個性的な作品を数多く世に送り出した功績などが認められた。船村氏は「ほかの多くの諸先輩方がやってきたことを受け継いだだけ」と謙虚な言葉を口にした。

 これまで村田英雄さんの「王将」や北島三郎(80)の「なみだ船」など数多くのヒット曲を生み出した船村氏が、作曲家として大切にしているのは「はじめに言葉ありき」。「日本語の素晴らしさを助ける脇役でありたい」という思いでメロディーを作り上げるという。日本語を大事にしているからこそ、「若い人の日本語には心配なところもあります」と不安をのぞかせ「日本語を大事にしてほしい」と語った。

 昨年末から体調を崩し、4月に心不全と診断された船村氏は、5月6日に8時間にも及ぶ心臓弁置き換え手術を受けた。「飲みすぎ、食べすぎで体がボロボロだった。医者から明後日死ぬと言われた。死なないようにしてくださいと頼んで手術を受けた」と冗談交じりに話すが、そのかいあって「今はだいぶ体調がいい」と明かす。

「不器用な男なので、今まで通り大衆芸能のお手伝いをしたい。その仕事に尽きると思う」と語った船村氏。今後も音楽界の発展に全力を注ぐつもりだ。